教務力向上今さら誰にも聞けない!!コーチングの基礎その1 ~ コーチングを知る ~

「コーチングという言葉は知ってるけど、説明するのは難しい」
「いざ自分でやってみようとすると、何に気をつけるべきかわからない」
「子どもたちだけでなく、新任の先生などへコーチングのスキルをもって向き合いたい」
 
相手のやる気を引き出し、主体的な行動を促すために有効な「コーチング」。先生の役割が、ただ「教える」だけでなくなる中、子どもたちはもちろんのこと、教員教育にも活用したいとする声は増えてきています。
 
今回は、「そもそもコーチングとは」を改めて振り返っておきたい方に向けて、コーチングを実践するまでに必要な考え方やポイントについて、2記事に分けてご紹介していきます。 

1.そもそもコーチングとは 

「今よりもっと自分らしく生きたい」、多くの方がそう思っているのではないでしょうか。ところが、実際には、それぞれが置かれている環境や自分の中にある制限によって、その思いを十分に追及できていないことが多いかもしれません。

もし充実感を持ちながら、バランスのとれた生活の中で、自分の思いを実現できる時間を過ごせたら、それほど素晴らしいことはないのではないか。

生まれた時から、少なくとも「不幸せになろう」と思い生活している人はいないはずです。しかし、「私なんてどうでもいい」「これ以上は仕方がないんだ」という言葉を発してしまう状況こそ、実はサポートを求めたSOSだと受け取ることができます。それは、大人も子どもも本質的に変わりありません。

こうしたことから、コーチングの考え方の基本は、「誰もが本来持っている思いの達成をサポートすること」にあると言えます。

2.コーチングにおける“コーチ”とは

2-1.ブラインドマラソンの伴走者

例えば、視覚に障害のある選手が長い距離を走り抜こうとするとき、必ず伴走する人を必要とします。ランナーと伴走者は、「きずな」と呼ばれる一本のロープで結ばれています。ブラインドマラソンは、チーム競技のようなもので、伴走者はランナーの安全を確かめながら、それぞれの目標タイムに向かってサポートします。
 
そして、ここで重要なのは、あくまで主役はランナーだということです。伴走者は、ランナーが今持っている力を十分に、速やかに発揮できるよう手伝う役目を担います。
 
この関係性こそ、コーチングにおける相談者とコーチの位置づけなのです。

2-2.人生のコーチは、スポーツのコーチとは違う

また、コーチというと、どうしても野球やサッカーなど、スポーツコーチのイメージも同時に浮かべるかもしれません。極端な話、テレビなどで見られる「熱血コーチ」のことですが、「こうしろ」「そうじゃない」「そうだ、よくできた」とアクションを交えて、大きな声で指導している姿が一般的です。
 
一生懸命、自分の理想に近づけようと選手にアドバイスを送り、選手も自身の成長と勝利を信じてコーチの指示に従います。ときに、感動ドラマのように何かを成し遂げ泣き合っているシーンも、見たことがあるのではないでしょうか。
 
しかし、この構図をよく見てみると、スポーツコーチからの働きかけは「命令」「否定」、そして、たまにもらえる「ごほうび」の積み重ねであることに気づきます。コーチは、この流れの中で、大きな充実感をもつかもしれませんが、少し意地悪な見方をすると、その行為は、選手の心の中にずっと否定の書き込みをしているようなものです。
 
もしかすると、選手は内心では、次第に大切な自信をなくしていっているかもしれませんし、依存心ばかりが高まり、アクティブに行動する心は育たないかもしれません。
 
一方、人生のコーチは、相談者の内面を育てていきます。相談者とコーチの間には、おだやかで適切な励ましの言葉はあっても、否定や命令の言葉はありません。あくまでも、ブラインドマラソンの伴走者のように、その思いの達成に向けてそっとサポートする存在なのです。 

2-3.コンサルティングとコーチング

人生のコーチが、スポーツの熱血コーチと勘違いされるように、もう一つ、コーチングとよく混同される言葉として、コンサルティングがあります。
 
どちらも、問題解決をする仕事にかわりありませんが、その本質は異なります。
まず、コンサルタントは、その道の専門家ですf。相談の内容を聞き、問題を特定し、それに対する具体的な処方箋を書いていきます。相談者との関係はそれぞれだと思いますが、基本的にここまでがコンサルタントの仕事です。
 
一方、人生のコーチは、必ずしも専門家である必要はありません。相談者の話を深く聞く点では同じですが、問題の特定などは行わないのです。相談者の問題、つまり、こうしたいという思いは、すでに相談者の中にあると考え、コーチは相談者の過去を含めた生活をできる限り理解しようとしながら、相談者の問題解決力を引き出すサポートをします。
 
相談者の前にポンと解答を与えてしまうことは、スポーツの熱血コーチの「こうしろ」という命令と同じものであり、コーチングでは決してそのような対応にはなりません。

3-1.変化していく力を創りだす



では、「命令はダメ」「正しいと思われる答えを与えること」もダメだとしたら、人の思いを成し遂げる方法とは一体なんなのでしょうか。
 
結論から言ってしまうと、それは「相談者に本来備わっている力を信じること」です。コーチングでは、相談者の思いを達成する力は、相談者にすでに備わっていると考えます。ただ、色々な環境要因や、相談者の内部に知らないうちに住みついた抑制の気持ちが、その実現を妨げていると見なすのです。
 
思いを実現するために、相談者は、いくつもの壁を乗り越えて変化していかなければなりません。しかし、人はとても保守的なもので、今までの経験の中で身についたやり方が最も安全だと信じています。そんな相談者の内面に変化を促すには、いくつか工夫が必要です。
 
例えば、人の気持ちを変化させる方法はたくさんありますが、その中で最もポピュラーな方法が「脅し」です。脅しと聞くと、少し物騒な気もするかもしれませんが、人を動かす方法として日常的に使われ、つい無意識のうちに自分で発していることもあります。
 
「ちゃんとやらないと~」「勉強しないと~」「今度間違ったら~」と、例を挙げようとするといくらでも出てきてしまい、「そういえば、つい言ってしまっているかも!」と思った方も多いのではないでしょうか。ただ、そうした声かけも、実はこれまでに、自分が親や教師から言われてきた言葉であり、いつの間にか染みついてしまっていたのかもしれません。
 
しかし、改めて冷静に振り返ってみると、そのような言葉によって本当に素直に、前向きになれていたかどうかは考えどころです。おそらく、どこかで引っかかりながらも、否応なく流され、聞き流していたという感じではなかったでしょうか。 

3-2.「ああ、そうだ」という気づき、納得が次への一歩

もちろん、「脅し」によって、本能的に、表面的に、人は動くかもしれませんが、それは内面のアクティブな変化では決してありません。
人は、大人でも子どもでも、「ああ、そうだ」と思った時にだけ、素直に自分の変化を受け入れることができます。
 
今、現実に、生きている環境をできるだけ正しく客観的に見つめ直し、心の中に生じていた「自分にはこれだけしかできない」「それ以上は無理」という堰(せき)が一気に崩れる瞬間のエネルギーが、変化を促すのです。
 
人は、「ああ、そうだ」「そういうことか」と気づいた時に、これまでの不安や迷走から解放され、その時生じる力が、変化とそれに続く行動を生みだす原動力になります。
 
コーチの意識は、いつも相談者の内面に向けられ、「そうか」という気づきを促す工夫を考えることが、最大の仕事になるのです。 

4.変化を促すのは「理解」と「質問」



相談者の心に、余裕が生まれ、変化を受け容れられるようになると、「試してみたい」「やってみたい」というアクティブな気持ちが生まれ、自然と行動に結びついていきます。
心の中に生まれた納得の気持ちと行動は一対のものであり、基本的にこのことがコーチングの目的になります。
 
コーチングには、命令も、否定も、解答も、脅しもありません。変化と行動の核を生み出す力は、相談者への「理解」と気づきをうながす適切な「質問」だけになります。
 
次回の「その2」では、実際にコーチングを行う際の仕組みを理解し、その中で実践する傾聴、問いかけといった働きかけについて、いくつかポイントや留意点を確認していきます。
 
 今さら聞けない!!コーチング基礎・基本その2 ~ コーチングを始めるために ~
 
(Find!アクティブラーナー編集部)

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