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アクティブティーチャーの挑戦 第二十二回(月刊高校教育1月号掲載)

学事出版『月刊高校教育』にてFind!アクティブラーナーの連載がスタート!
こちらでは冊子の記事をWEB版として公開しております。

アクティブティーチャーの挑戦 第二十二回(月刊高校教育1月号)

茨城県立土浦第三高等学校
竹内達郎先生

「運動部活動の指導について」

≪茨城県立土浦第三高等学校について≫

本校は、1946(昭和21)年に開校し、今年で創立76年を迎えました。校訓「至誠」「自律」「協和」、校是「文武一道」のもと確かな学力の向上と活発な部活動の両立を目指した教育活動を展開しています。霞ヶ浦を一望できる高台に位置し、緑豊かで、四季の変化が大変美しい落ち着いた立地条件です。また、近年改築を終えた新校舎は壮観で生徒が清々しい気持ちで学習に打ち込める環境です。

1学年のクラス数は普通科3クラス、商業に関する学科3クラスです。合計計18クラス、生徒数は約720人です。筑波大学、茨城大学、茨城県立医療大学をはじめとする国公立大学や私立大学への進学、地元を中心とした公官庁や企業への就職を実現するとともに、運動部や文化部の活発な活動のもとに関東大会や全国大会への出場を実現しており、茨城県南地区屈指の高等学校として君臨しております。生徒たちは、まさに「文武一道」をモットーに生き生きと充実した高校生活を送っています。

≪私の野球人生について≫

○野球との出会い

小学校2年生の時(1981年)、当時ルーキーの原辰徳選手(現巨人軍監督)に憧れて野球をはじめました。野球との出会いは人との出会いと思っています。出会いとは、運に恵まれ、ご縁をもたせていただき、そして恩が生まれるというのが持論です。「運と縁と恩」を大切に野球に取り組んでおります。とくに中学・高校・大学と球歴や指導力、そして人間力に溢れる指導者に恵まれました。人生の財産です。何より時代に先駆けた指導理念に触れられたことが今日にも活かされています。

○常総学院野球部時代

高校は、私立の常総学院に進学しました。開校したばかりの学校で7期生でした。木内幸男監督(日本一3回、甲子園通算40勝)に3年間指導を受けました。自分が1年生の夏の大会まで3年連続で甲子園に出場しましたが、2年生と3年生では夏の県大会ベスト4で悔し涙を吞みました。キャプテンをつとめた時期もありました。2学年上に仁志敏久氏(横浜DeNAベイスターズ2軍監督)、2学年下に金子誠氏(前 北海道日本ハムファイターズコーチ)という、のちにプロ野球の第一線で活躍する選手たちとプレイできたことは、今の指導者人生に生かされています。二人のビックネームを目標に高校野球指導者として奮闘中です。

木内幸男監督が、高校野球一筋60年以上指導をする中で、還暦を迎える熟練期に指導を仰ぎました。木内監督は、その卓越した観察力・洞察力で、選手の長所や特性を見抜き、日頃の練習試合から周到な仕込みを行っていました。「木内マジック」といわれた、野球ファンや観衆側から見える意表を突いた大胆戦術も、選手たちにとっては日常でした。「木内マジック」というよりは、日頃からの理詰めの野球に基づく「木内ロジック」だったのです。木内監督は、「オール3の平均選手は使わない、1つでも5の力を持つ選手はその持ち味を活かすように機会を与える。ただし、2を持つ選手は使わない」と、おっしゃっていました。一人ひとりの個性を最大限に生かすアイデアを持ち、旧態依然とした発想を嫌い、先見性に長け、老練でありながらも新しいスタイルを見出す監督でした。超・合理主義者であり、希代の勝負師でもありました。

○筑波大学野球部時代

大学は、筑波大学体育専門学群に進学しました。大学野球界で国立大学唯一の日本一を達成した大学です(1987年第18回明治神宮野球大会優勝)。功力靖雄(くぬぎやすお)教授(野球部監督)のもとで野球を学問として学び、大学院時代までお世話いただきました。

人材育成や練習方法、ゲーム分析を含めて、アマチュア球界において先進的で革新的なチームづくりは、現在の指導に生かされています。また、高校時代には叶わなかった優勝を、大学4年秋の首都大学リーグ戦でキャプテンとして手に入れられたことで、国立大学でも強豪私立大学(東海大学や日本体育大学など)を撃破できるんだという信条を現在まで絶やすことなく持ち続けられています。

こうして、高校・大学と日本一を経験した監督から指導を受けられたことは幸運でした。木内監督からは「甲子園をめざす勝負哲学」、功力監督からは「育てて勝つ哲学」を学び取ることができました。

○なぜ高校教員になろうと思ったのか

私は小学校では学級委員、中学校では生徒会長、高校・大学の野球部ではキャプテンなど集団のまとめ役を務めることが多くありました。その時に数多くの優秀な先生方と接する機会をいただき、いろいろと教え導いていただきました。自分もあのような先生になりたいという憧れや目標となり教員を目指したと思います。今振り返ると立派な先生方との出会いに恵まれたことは幸せでした。ですから、現在は教員としてお世話になった先生方のように生徒たちに心から向き合うことを心掛けています。それがそうした先生方へのいくばくかの恩返しになっていたとしたら幸いです。

そして、何より部活動においては、中学・高校・大学と一流の指導者に巡り合えたと自負しております。そのような恩師を目標に高校野球の監督として子どもたちと甲子園の夢を追いかけたいと考えたのが教師を志す上でもっとも強い動機でありました。

≪水戸一高野球部監督としての指導≫

茨城県立水戸第一高等学校で、東日本大震災直後の2011年度からコロナ禍に見舞われた2020年度までの10年間を過ごさせていただきました。学生野球の父と称されている飛田穂洲(とびたすいしゅう)先生の母校であります。「一球入魂」「快打洗心」という言葉は飛田先生が残された名言です。野球人として、日本の精神野球の源流である飛田先生の野球道に触れることができたのは恐悦至極でした。グランドを一望できる場所に飛田先生の胸像があり、いつしか早朝に清掃をすることが私の日課となっていました。

着任当初、水戸一高の選手は理解力があるので、野球人生のキャリアの中で学んできたことをとことん注入し、教え込めば勝てるだろうという思い込みがありました。指示命令型のいわゆるトップダウンの指導でした。しかし、選手たちにとっては一方通行で消化不良だったと思います。その証拠に力量のある代でも1年間の公式戦で1勝もできないことがありました。OBを含めて勝利を願ってやまない皆さんからは、厳しいお言葉もいただきました。

私が選手を雁字搦めに縛り付けているから思うような結果が出ない、自分でない監督ならもっと違う指導方法をして勝てるのではないかと自問自答に明け暮れていました。そこで、選手を指導によって思い通りにコントロールして結果を変えようとするより、私自身の考え方や指導の仕方を変えて選手の行動が変わるようにしていかなければいけないという結論に辿り着いたわけです。

そこで、スポーツ心理学やビジネスコーチングを真剣に学びました。多くの書物を読むとともに、シーズンオフにはリアルセミナーに参加しました。現在も、オンラインセミナー等に参加してアップデートしています。その中で、チームづくりはトップダウンではなくボトムアップが大切なこと、指導では結果よりプロセスが大切なこと、一人ひとりへの質問が主体的な行動を導くことなどを学びました。


(写真:2020年8月 水戸一高最後の試合での円陣 撮影:加藤弘士 記者[スポーツ報知])

そして、選手との個人面談導入に至ります。30分間の面談を年間一人10回実施することができました。また、部朝礼を実施して日頃の所感を述べさせたり、指定図書を読ませて感性を磨かせたりもしました。この面談からは「聞き出す-引き出す-動き出す」という仕組みが出来たのではないかと思っております。日頃のミーティングでは「自立・自走・考動」できる人間に成長しようという言葉をよく伝えていました。 よって、練習前後でねらいや振り返りを行わせたり、練習メニューを全て考えさせたり、試合の先発メンバーを決定させたりと選手主導のマネジメントに舵を切ったのです。 

その結果、甲子園チームに食らい付き接戦を演じたり、土壇場からの逆転劇であったり、5時間を超える延長戦を制したりと粘り強いチームになりました。そして、コロナ禍で甲子園はなくなってしまった2020年の最後のチームは、あわよくば上位進出あるかというチームにまでに変貌しました。

選手たちは、野球を学ぶことはもちろん、野球で学ぶ人間に育つようになったように感じています。そのことによって、一人ずつが英知を絞って困難に立ち向かう創造力や発想力、課題解決能力を身に付けられたのではないかと思います。私自身も選手やチームの結果をすぐに求めるのではなく、その成長を我慢強く待つことが出来るようになりました。「変化でなく、変わるより化けろ」「大変ではなく、大きく変わる」「欲しいのは、結果より思い切り」「chance-challenge-change」などと成長を促す語録を連呼しながら選手を鼓舞していた気がします。行動促進者(facilitator)の意識が芽生えていたのだと思います。

参考図書のラインナップ


【運動部活動の顧問の先生におすすめの書籍】
<チームづくりのための参考図書>
・ピョートル・フェリクス・グチパチ 「世界最高のチーム」 朝日新聞出版 2018年
・アンジェラ・ダックワース著 神崎朗子訳 「やり抜く力」 ダイヤモンド社 2016年
・中竹竜二 「ウイニングカルチャー」 ダイヤモンド社 2021年

<スポーツ心理学のための参考図書>
・シアン・バイロック著 東郷えりか訳 「なぜ本番でしくじるのか」 河出書房新社 2011年
・白石豊 「心を鍛える言葉」 NHK出版 2005年
・大儀見浩介 「勝つ人のメンタル」 日本経済新聞出版社 2015年

<部活動改革の参考図書>
・島沢優子 「部活があぶない」 講談社現代新書 2017年
・中小路徹 「脱ブラック部活」 洋泉社 2018年

<高校野球指導者としての参考図書>
・田尻賢誉 「本気でぶつかり本気にさせる 大野康哉 公立高校野球部の育て方」 ベースボールマガジン社 2020年
・小倉全由 『「一生懸命」の教え方』 日本実業出版社 2021年
・森林貴彦 「Thinking Baseball」 東洋館出版社 2020年

【選手に読ませた指定図書】
・酒井雄哉 「続・一日一生」朝日新書 2014年
・NHK「プロフェッショナル」制作班 「プロフェッショナル 仕事の流儀 壁を打ち破る34の生き方」NHK出版新書 2015年
・NHK「プロフェッショナル」制作班 「プロフェッショナル 仕事の流儀 運命を変えた34の言葉」 NHK出版新書 2013年
・秋山利輝 「一流を育てる」 現代書林 2013年
・スティーブン・ガイズ著 田口未和訳 「小さな習慣」 ダイヤモンド社 2017年

≪水戸一高の歩く会実行委員長としての経験≫

水戸一高の経験で忘れてはならないのは、『歩く会』という学校行事です。恩田陸さん原作の『夜のピクニック』のリアル版になります。約1000人が一昼夜かけて70キロを踏破する全国的にも稀有な学校行事です。10年の赴任期間のうち7年間、歩く会実行委員長として企画・運営することで、野球部監督以上にマネジメント能力を鍛えることができました。

行政・地域・OB・保護者・教職員との連携、連絡調整を通じて一大イベントを遂行するための段取り力といいますか物事の進め方を学ぶことができた経験は貴重な財産となっています。丁寧さ、緻密さ、誠実さをもってコミュニケーションを図れば、人と人とのネットワークが構築され、ひとつのイベントで笑顔とココロがつながることを実感しました。

それにもまして、毎年70人からなる生徒実行委員との委員会活動は、教員人生にとってのターニングポイントといっても過言ではありません。学校行事を成功させたい思えば、教員が企画運営の多くにレールを敷き、教員主導で推し進めて生徒を使役にする方が簡単です。しかし、それでは生徒の気づきや学びが生まれません。教員が考えている以上に生徒たちのモチベーションや熱量は計り知れないものがあります。実行委員の生徒が描くデザインに対して、失敗してもいいからやらせてみたり、生徒が自分たちでやっている感を醸し出せるように傍で見守り後方支援をすることが大切であると感じたわけです。まさに「従いつつも導く」とでもいいましょうか。これは、野球部の指導に大いに活用できました。不思議なことに実行委員長を務めてからの方が勝てるようになりました。

≪土浦三高野球部監督としての指導≫

茨城県立土浦第三高等学校に、2021年4月より赴任して、その年の7月末の新チームから監督をつとめています。赴任直後の2021年夏の大会でベスト16に進出し、勢いに乗っている前任の監督さんからバトンタッチの就任であり、身の引き締まる思いでした。ちょうど1年が終わったところです。

(写真:土浦三高監督として練習試合での指揮[2022年11月])

昨年の就任直後は緊急事態宣言下で8~9月の活動は困難を極めていました。しかし、水戸一高の最終年での経験を活かし、オンラインでのミーティングと個人面談を数多く重ね、選手とのコミュニケーションを活発に図りました。その甲斐あって、監督就任後はじめての秋の大会で6年ぶりの県大会に出場することが出来ました。幸先のいいスタートでしたが、まだまだ力をつけていかなければなりません。選手一人ひとりと向き合ってみるとモチベーションの高い選手が多くいます。大躍進の期待感の持てる選手たちだと思います。よって、前任校以上に選手一人ひとりを大事にする指導に努めて伸長を図っていきたいです。

まずは、「チームづくりは人づくり」と捉えています。それには、面談を中心とした人間関係づくり、信頼関係づくりを密に行い、選手の理解と行動の促進に努めなければいけないと考えています。それによって一人ひとりが目標設定をして、自ら動き出せるような仕組みが出来れば、結果は自ずとついてくる気がします。そのためには、私だけでなく顧問の先生や外部コーチなど様々な人材の連携と活用を積極的に推進したいと思っています。経験豊富な多くのスタッフと関わることによって、子どもたちの変容は大きくなると確信しています。

(写真:練習試合後の振り返りと反省ミーティング[2022年11月])

今後の指導についてですが、「技術・競技力の向上」「試合での勝利(甲子園出場)」「人間的成長」 の3つをゴールとして、トップダウンとボトムアップのバランスをとりながら選手たちと向き合い、結果的に選手が能動的に活動できるような指導方法を絶えずアップグレードしていきたいと思います。

また、高校・大学の恩師は日本一を成し遂げたので、それを超えるためにも世界に目を向けています。どういうことかといいますと、グローバルな視野を持ってローカルで戦う発想です。グローカルコーチングとでもいいましょうか。組織での人材育成やスポーツの指導法も世界基準で動いています。そう考えると自分自身の野球コーチングにおいてもまだまだ勉強と発展の余地があると考えています。競技種目やスポーツの壁を越えて様々な世界から学び、高校野球というステージに生かしていきたいです。

≪今後の運動部活動の在り方について≫

わが国では、文明開化まもなくスポーツが全国に伝播しました。スポーツを享受できる土壌は学制公布以後に学校を中心に醸成されてきた歴史があります。当時の富国強兵と相まって国民の身体を鍛錬する時代背景とも結びついています。鍛錬主義、精神主義、連帯意識などがスポーツ界に根強く残っていることと部活動指導の諸問題(暴力・いじめなど)が幾ばくか関係しているのかもしれません。また、運動部活動は教育の一環であるという大義名分のもとに行われた躾や厳しい指導の度が過ぎたり行き過ぎたりすることで問題行動が浮き彫りになっているのも事実です。今日的諸問題では、教員の業務過多の中で部活動指導の負担や専門外の部活動への顧問配置などでブラック部活などと称されてしまっています。 

私たちは部活動で育てられてきた人間であり、今日もその指導に打ち込んでいるものからすると部活動にネガティブなイメージが定着してしまうことはとても残念であります。しかし、浮き彫りになっているマイナス面にもしっかりと受け止めて克服していくことが私たち部活人間の使命であると前向きに考えています。一方で運動部活動が多大な役割を果たしてきたことは言うまでもありません。青少年の心身の健全育成、スポーツ文化の底辺支持と拡大、各競技の上級ステージへの人材供給源、学校の知名度やイメージの向上、学校の活性化、指導者の育成、競技力向上など。とくに目を向けることは、青少年期の多くの子どもたちが学校でスポーツに触れられる点です。誰もが日常の身近な空間でスポーツにアクセスできることは非常に有意義であります。

また、われわれ教師は日頃から職務上、子どもたちのさまざまな側面を知ることができ、生徒の伸長に寄与しています。学校で長らく部活動が根付いてきたのはそのような背景が関係しているはずです。単に学校から地域に切り離すというだけではスポーツ指導で起こる諸問題は解決されない気がします。地域に移行するもののスポーツ指導がさらにエスカレートする場合もあると思います。よって、多様なスポーツニーズに対応するようなシステムや指導者の養成を十分に整備拡充する必要性を感じています。

今後は、グローバル化、情報化、SDGs(持続可能な社会)などのキーワードとスポーツの指導が結びついていくとスポーツのさらなる発展性が生まれるのではないでしょうか。社会も高度成長期の大量生産、大量消費、大量廃棄の時代からグローバル化の中で持続可能な社会への転換が図られてきました。スポーツに対する考え方も同様です。糸目なくスカウトした大勢の選手の中から単にゲームで活躍できるものを篩にかけるという発想から、限られた選手の中でも一人ひとりを大切に育て上げる発想への転換期だと思います。元来、勝利至上主義の問題点はそのあたりにあった気がします。一部のアスリートやチームがスポットライトを浴びる一方で多くのものの悲劇や犠牲があったことは否定できません。勝つという大義名分のもとでリクルートの問題と余剰なメンバー外選手、理不尽な指導、パワハラ、燃え尽き症候群、学業不振など諸問題の多くは未解決のままです。

勝利至上主義とは似て非なる勝利主義という発想があります。スポーツを各方面から多面的に追求し、よりよく勝つ方法や上手くなる方法を探ることを指していると思います。それぞれのチームや個人の置かれている状況は違いますが、限られた環境の中、大きな大会勝利のため、次の試合の勝利のため、まだ見ぬ勝利のためにベストを尽くすことこそが尊いものであり、スポーツの価値を高めるものでしょう。 

そのためには、日本のスポーツ界に根差している自身の経験則や因習にのみ基づいた指導や精神主義偏重のスポーツに対する価値観を少し見つめなおし、平成から令和への新しい価値観を持ちながらスポーツや運動部活動の指導に取り組むことで、未来につながる豊かで明るいスポーツ文化が拓けていくと思います。私は、アスリートセンタードコーチング、ダブルゴールコーチング(勝利を目指すこと&人間的な成長をめざすこと)、科学的根拠に基づいたコーチング(EBC:evidence based coaching)に着目し、自身の指導に採用しはじめています。 

スポーツの指導に携わる人たちは、スポーツ科学などに積極的に触れていく必要性を感じています。スポーツ指導にまつわる情報も溢れている時代であるので、情報リテラシーも必要にはなりますが、旧態依然としたスタイルに依拠するだけでは選手の伸長やモチベーションの向上に寄与しづらくなっているのではないかと思います。ですから、科学的根拠にもとづいた指導方法を採用しながら選手たちと関わっていくことが効果的指導につながっていくことでしょう。私の専門分野の指導を一例にします。野球の投手育成の必須要件である投球フォームの改善では、投球動作をビデオ分析したり、動作につながるカラダの使い方をマスターさせたり、ピッチャーのためのカラダづくりをさせたりします。そこでは、指導者の経験則も大いに役立ちますが、スポーツ科学を多面的に活用すると効果的な指導に直結するのは自明の理です。すると、日々の活動も画一的な内容の全体指導より、バラエティーに富んだ個に応じた指導の必要性が高まってくるはずです。こうした取り組みが最終的に選手一人ひとりのモチベーションを向上させ、能動的な取り組みにつながれば、生き生きとした活動に拍車がかかりそうです。

教師は生徒と触れ合う時間が長いことがメリットです。また、常に学ぶ姿勢を持たれている先生方は大勢いるはずです。好奇心や向上心の旺盛な人間は常に学んでいる人から学びたいものです。指導者が学びを止めなければ、運動部活動や学生スポーツが発展するチャンスはまだまだ残されているととらえています。

≪運動部活動の顧問の先生へのメッセージ≫

近未来、社会の形成者である若者たちと部活動を通じて青春時代の1ページを共に歩めることは、指導者冥利、教師冥利に尽きることでしょう。まだ見ぬ夢を語りながら、子どもたちの無限の可能性を引き出すことが出来るのは私たちだと思います。

スポーツは、勝ちと価値があり、負けにも価値があります。勝利を目指し努力すること、困難や障壁にチャレンジし乗り越えること、失敗から立ち上がること、相手や仲間を尊重し助け合うこと、うれし涙、悔し涙、笑顔、感動などいとまがありません。スポーツの価値を高められるのも私たち指導者やアスリートのスポーツへの関わり方次第だと思います。

社会や文化が発展し、サイエンスやテクノロジーが進化するのと同様に、スポーツの世界も日進月歩で高度先鋭化していくことでしょう。自分のスタイルをアップデートしながら学び続ける指導者を標榜し、アスリートとともに豊かなスポーツライフを送り、人生の勝利を目指しながら切磋琢磨していきましょう。目指せ!Active learning coach ですね。

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