アクティブティーチャーの挑戦 第十四回(月刊高校教育5月号掲載)

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アクティブティーチャーの挑戦 第十四回(月刊高校教育5月号)

修文学院高等学校(愛知県一宮市)
小栗孝司先生

「学校広報活動の取組について」

≪広報課課長として心がけたこと≫

○修文学院高等学校について

本校は、1941年に女子校として開校し、今年4月から男女共学化に伴い、校名を修文女子高等学校から修文学院高等学校に変更しました。本校では、それに伴い、主に下の5つの目玉方策を展開しましたが、これらの方策は、4年間の準備を経て実現したものです。

修文女子高等学校から修文学院高等学校へ

【学校改革目玉方策】

(1)2022年4月男女共学化
(2)特進クラスの新設と専門学科の更なる充実
  (指導実績のある教員の招聘・カリキュラムの見直し・英語教育の充実 など)
(3)制服の変更
  (地元尾州生地を使用した多様性のある制服を採用 など)
(4)施設の見直し
  (更衣室設置・トイレ洋式化と多目的トイレ設置・Wi-Fi環境拡充 など)
(5)新設部活動の設置
  (野球・サッカー・ハンドボール・ダンス・eスポーツ部の新設、専門コーチの招聘)
 

○チームで楽しく取り組む

私は、2021年4月に広報課の課長に就任しました。それまでは、食物調理科の学科主任をしていました。広報課のメンバーは、教科指導、生活指導、部活動指導を主戦としており、広報活動の経験がない私達はチームで広報活動に取り組むしかありませんでした。それとともに、男女共学となる歴史的な瞬間を最前線で楽しむことも心掛けました。

チームリーダーとして、コミュニケーションを大切にし、メンバーの強みや個性を把握することで、私が「知らない、できない、気がつかない」ことでも、迅速に具現化できるようになりました。

チーム小栗

学校広報に関して、慣例で行われていたことの意味を再確認しました。「当たり前」のことを「気にする」習慣を持つようにしたのです。例えば、「生徒募集要項、もっと見やすくならないかな?」「単なる封筒を、もっと目立つアイテムにできないかな?」「この情報や資料、先生方と共有できないかな?」といった具合です。
 

○学校広報等の成果について

数々の施策を打った結果、募集イベントの参加人数が、前年度比で2倍になりました。推薦入試の受験者も2倍、一般入試の受験者数は1.5倍になり、入学者数は前年度の2.15倍になりました。しかも、男女共学化初年度にもかかわらず、男子生徒が全体の3割近く入学してくれました。
 

≪学校案内・募集要項・ネット出願の工夫≫

○学校案内(パンフレット)について

学校案内2022表紙

学校案内のデザイン・内容の大幅変更を実施しました。制作会社へクリアにイメージを伝えるために、電子媒体でのやりとりをすることで、修正処理速度のペースも格段に早くなりました。

また、私の提案で、実際に制作会社を訪問しました。制作会社の営業担当者だけでなく、デザイナーさん方とも直接会ってお話をし、距離感が近くなることで、「一緒にいいものを作り上げる!」という意識を高めることができました。制作会社訪問は、皆さんにもお奨めします。
 

○募集要項のカラー化

生徒募集要項

カラーでお金をかけて作る学校案内(パンレット)と違い、募集要項は簡易的なものが多いと思います。しかし、私は、近隣の大学の募集要項の見やすさを本校にも反映できないだろうかと考えました。カラー化とともに、学校案内の一部ページも掲載して、募集要項を見ていただく段階で、もう一度本校の魅力をアピールするようにしました。
 

○ネット出願の利点と課題

近年、多くの学校で、ネット出願が行われていると思います。利点がたくさんあります。例えば、圧倒的に入試業務・郵送業務が軽減され、他の業務に取り組むことができるようになりました。また、途中経過を確認できたり、データの分析業務に強みが生かせたりしました。もちろん、24時間受付が可能になります。
課題は、ネット出願に対する中学校側の理解と協力が必要だということです。調査書の提出等に関しては、セキュリティー面の強化も必要になります。
 

≪オープンスクール・各説明会の工夫≫

○リマインドメール・サンクスメールについて

昨年度の募集イベントは、以下の8回を計画しました。
(1)学校説明会(授業体験)    3回
(2)オープンスクール(学科体験) 3回
(3)入試説明会(入試)      2回
新型コロナ感染症拡大の関係で9月に実施予定の学校説明会が1回中止となりましたが、イベント参加人数は、前年度の2倍を越えました。申込みは、原則としてネットを活用しました。その結果、得られた情報を活用できました。

イベントの前日には、中学生に「明日開催します」というリマインドメールで、当日の日程等を再送信しました。また、イベント終了後には、参加者に「本日はありがとう」「次回もお願いします」というサンクスメールを必ず送信しました。そのことで「修文ファン」をつくるように心がけました。

この「リマインドメール」と「サンクスメール」は、ビジネス界では常識だと聞いていたのですが、あまり学校広報では実施されていないように思います。メールアドレスが分かっていればできる施策ですので、学校広報担当の先生には、ぜひお奨めします。
 

○校内協力体制の構築

募集イベントに関しては、多くの先生方の協力が不可欠です。私は、広報課課長として、日頃からの「声掛け」を大切にしていました。駐車場係の先生には、「暑い中申し訳ありません」「お陰さまで無事イベントが終了できました」というように、必ず事前と事後にお礼の声掛けをしていました。これも、リーダーの役目だと思います。
 

≪アンケート分析の工夫≫

昨年度から、学校広報活動において、Googleフォームズを頻繁に活用するようになりました。そのメリットは、経費ゼロ、効率的、ペーパーレスなど上げられますが、何と言っても、すぐに結果が分かり、次回の改善に繋げられるのがいい点です。

各種募集イベントでは、QRコードを配付しGoogleフォームズでアンケートを実施しました。今回のイベントに関する満足度を測るとともに、中学生・保護者の方が、今後どのようなイベントを望んでいるかを把握し、高速でPDCAサイクルをまわすようにしました。

一方、Googleフォームズで、すべての質問事項に対応できるわけではないことや、紙のアンケートに比べて回収率が低くなる点が課題でした。回収率については、その場で回答する時間を確保することで、向上させることが出来ました。
 

≪学校行事等の発信方法の工夫≫

○SNSの積極的活用

本校では、昨年度からSNSを活用した広報活動を積極的に展開しています。具体的には、FacebookやInstagramの活用です。SNSの活用には、個人情報の取り扱いや、学校ホームページとFacebook・Instagramの役割を明確化することなどの課題がありますが、企業の実施しているコンサルタントサービスにアドバイスをいただきながら展開しました。その結果、多くのフォロワーを獲得することに成功し、数多くの「修文ファン」を作ることができました。

SNSの広報活動は、継続することが重要です。そして、一人で行うのではなく、複数名で更新することで、違う視点の投稿が可能になりました。SNSの活動は、今年度も引き続き積極的に実施していきます。
 

○動画配信サービスの活用

近年、YouTubeチャンネルを活用する学校が増えていると思います。本校でも、昨年度、13本の学校行事の動画を公表しました。動画配信が得意な教員の協力を得て、生徒によるファッションショーの生配信も実現しました。

ファッションショー

学校行事の動画については、在校生はもちろん卒業生・保護者のアクセスも非常に多いので「生徒の満足度UP」に大きく貢献したと思います。こちらも引き続き取り組んでいきます。さらに、今年度はドローン撮影にも挑戦する予定です。
 

≪学校広報を担当されている先生へのメッセージ≫

広報課課長となって、いろいろなことを考えました。生徒は現状に満足しているか?隣の先生の強みはなんだろうか?今、学年(学科)・部活動・補習・クラスでは何が起きているのだろう?今やっていることは、どうしてこうなったのか?昔、どのような経緯があったのか?今、求められていることは何だろう?今、取組んでいることの中で、削れるものはないだろうか?

私は最初「広報=外の仕事」だと思っていましたが、「広報=内の仕事」でもあることに気がつきました。そこで、在校生の満足度、在校生の保護者の方の満足度を上げることが大切だと気がつきました。そのことが、学校の評判を高め、ファンを作っていくのだと思います。

昨年4月に広報課課長となって、いろいろなことに挑戦してきました。一緒に挑戦してくチームメンバーには、心から感謝しています。管理職をはじめ全ての先生方に感謝しています。みんなで頑張ってきた結果、受験者数・入学者数が飛躍的に増加しました。男女共学化という本校の歴史的な瞬間の広報活動に携わることができて、とても幸せでした。

しかし、本当の勝負はこれからだと思っています。入学してくれた生徒たちの満足度を高め、さらにいい学校にするために努力したいと思っています。修文学院高等学校の今後に、ぜひご期待ください。

最後に、私たちのように、教員としての本来業務を抱えながら「広報活動」をしている先生方にメッセージを送ります。

「どうせやるなら、楽しくやりましょう」。楽しくやったほうが結果もついてくるのだと思います。以上です。ありがとうございました。

広報課チーム

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