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アクティブティーチャーの挑戦 第二十四回(月刊高校教育3月号掲載)

学事出版『月刊高校教育』にてFind!アクティブラーナーの連載がスタート!
こちらでは冊子の記事をWEB版として公開しております。

アクティブティーチャーの挑戦 第二十四回(月刊高校教育3月号)

福島成蹊高等学校
水谷朋之先生

「研修履歴、体系的研修計画の作成について」

≪福島成蹊高等学校について≫

本校は、福島県福島市にあり、開校110年目を迎えた、県内では2番目に歴史のある私立学校です。大正2(1913)年に女学校としてスタートし、90余年女子教育を行ってきました。平成16(2004)年に共学化し、さらに平成21(2009)年には中学校を開校しました。校訓は、司馬遷の『史記』の一節「桃李不言下自成蹊」で、人々から慕われる篤実な人間を育てることを教育の根幹においています。この一節の「成蹊(みちをなす)」が校名の由来にもなっています。

現在、1000人以上の生徒が在籍する、地域内では最大規模の学校となっており、4つの特徴あるコースを設置しています。最難関大学や医学部をめざす「中高一貫コース」、大学進学に特化した「特別進学コース」、国公立大進学と部活動の両立を目指す「文理選抜コース」、一人ひとりの目標をバックアップする「普通コース」があります。地域からは「面倒見が良い」「進学実績が高く、部活動も進路も頑張れる」「安心、安全に通える」との評価をいただいています。

生徒は、大学進学希望者が多く、中高一貫コースからは東京大学、医学部、また、早慶などの難関私大の合格者を輩出しています。特別進学コースは例年、国公立大学合格率が60~70%と高い実績を上げています。文理選抜コースは、まだ2回の卒業生ではありますが、国公立大学合格者が各年度30名を超えています。普通コースの進路目標の1つは「中堅私大」となっており、志願者ほぼ全員が現役合格を果たしています。また、普通コースには短大・専門学校・就職希望者もおり、昨年度まで就職希望者は、15年連続で内定100%となるなど、手厚い指導を行っています。さらに、部活動の実績も向上しており、陸上競技・水泳は全国大会の常連です。他にも卓球、バレーボール、野球などが県の上位に位置しています。

≪「育みたい資質【能力】」の作成について≫

かつて本校には「人間を大切にする人間を育てる」という教育目標があり、先輩の先生方は事あるごとにそれを口にしていました。教育目標の変更や教員の世代交代などもあり、私は「校訓や教育目標」と「日々の指導」に乖離があることに危機感を覚えました。

そこで、学習指導要領の改訂に合わせて、スクールアイデンティティを再定義することにしました。校訓を体現した姿を時代に合わせて「換言」し、「校訓を体現した生徒像」=「卒業時の生徒の姿」をグラデュエーションポリシー「成蹊GP」としてまとめ直しました。
成蹊GP
①変化していく社会に対応し、主体的に課題の解決に努める人
②コミュニケーションを通じて相互理解に努め、人とのつながりを大切にする人


この「成蹊GP」を実現していくために必要だと考えられる資質を6つ挙げ、そこに含まれる【能力】を含めてまとめて明文化しました。
育みたい6つの資質【能力】
①知識 各教科の内容を理解し、それを日常生活に活用していく
【知識・技能、知的好奇心】

②社会適応 基本的な生活習慣を確立し、集団内で適切な行動をとることができる
【規範意識、社会性(集団行動力)】

③受信・発信 人の話しを傾聴したうえで、自分の考えを相手が受け取りやすいよう伝える
【傾聴力、表現力、語学力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力】

④協働 他者の価値観を理解・尊重しつつ、お互いに納得した最適解に向かって協力できる
【他者理解、協調性、リーダーシップ、調整力、想像力】

⑤課題解決 目標と現状の分析から課題を見つけ、解決に向けた最適解を創造・実行する
【課題発見力、情報収集力、思考力、クリエイション・イノベーション力、判断力】

⑥突破 忍耐強く努力・挑戦を続け、目標の実現に向けてやり抜く
【主体的行動力、やり抜く力、向上心、動機づけ、忍耐力】

■福島成蹊高等学校で育みたい資質・能力
https://school-fal.com/uploads/files/images/gakuji/gakuji2303_2-shino.pdf
 

これらを作成するために、まず作成のプロセスを企画立案しました。企画を立てる上で特に気を付けた点は「ゼロベースで新しいものを創り出すのではなく、これまでに成蹊高校で行ってきた(行っている)教育を整理して再構成すること」と、「それを管理職や一部の教員で行うのではなく、全教員が参加して行うこと」の2点でした。

全教員で成蹊高校の教育を整理・再構成する検討の場として、教研を選びました。本校では夏・冬の年2回、全教員が参加する教育研究集会(教研)があります。この教研は50年近い歴史があり、かつては一週間ほど行われていたこともあったと聞いています。

育みたい資質【能力】の検討を始めたのは、2018年の夏の教研でした。まずは、育みたい資質【能力】を決めていくための土台作りとして、「学校活動」と「その活動によって伸ばすことができた資質【能力】」の整理・共有化を行いました。

教育目標に含まれる8つのキーワードを、育みたい資質【能力】の原々案として提示し、今年度に予定されている諸活動について、その活動において伸ばすことができた(伸ばしたい)資質【能力】の項目部分に付箋を貼っていく活動を、全教員を8班に分けて行いました。また、そのなかで原々案にはないが伸ばすことができた(伸ばしたい)資質【能力】についても書き出してもらいました。この活動によって、お互いに「どの行事にどんなねらいを持って指導に当たっているか」「どんな力を育みたいと考えているか」を共有することができました。

これを受けて研究係(当時の分掌の区分けでは、教務部のなかに研究係があった)の会議のなかで、整理・再構成を行っていきました。先生方には折に触れて過程を共有するとともに、アンケートなどを実施して意見を募ることを行いました。そのような過程を経て、グランドデザイン原案をつくったのです。

次に、このグランドデザインを「生きた」ものにするためには「使って」いく必要があると考え、学校ルーブリックの土台づくりに2018年の冬の教研で取り組みました。育みたい6つの資質に含まれる28の能力のそれぞれに対して、1年次の終わりの姿をC、2年次の終わりの姿をB、3年次の終わりの姿をA、特に秀でている生徒の姿をSとして、各段階を言語化しました。これをまとめる活動を通して、先生方が考える「生徒の成長」を可視化することができました。

これらをふまえて2019年度は新学習指導要領に向けた方針を「決める」年度として位置付け、2019年の夏の教研は2日日程で行いました。1日目は「新学習指導要領を読み解く」活動を行いました。午前中に、教科・年齢がバラバラのグループで「前文と総則」について書かれている内容の解釈を話し合い、疑問点などを出し合って理解を深め、午後には、各教科に分かれて学習指導要領の「教科」について、午前中と同様の活動を行いました。

2日目には「グランドデザインを決める」活動を行いました。ここまでの取り組みをふまえたうえで、生徒への教育において自分が大切にしてきたもの、これから大切にしていきたいことをお互いに共有し、本校の強み/弱みを洗い出したうえで、「これから先の社会をふまえた校訓を換言した生徒の姿」を「育みたい生徒像」としてまとめました。そのうえで、育てたい生徒像の生徒が備える力を書き出してまとめていく活動を行いました。小さなグループから始め、最終的には全教員が大教室に集まるなかで、グランドデザインの案について検討を行いました。

この結果をふまえ、グランドデザイン(案)として校長に提案し、調整を受けたうえで本校のグランドデザインとして定められるものになりました。策定したグランドデザインを「お題目化」しないために、まずは各部の部長が率先して使ってほしいという考えを運営委員会で伝えました。その甲斐もあってか、策定後に各部から出される行事要項の「目的」の部分に、その行事で育みたいとする資質【能力】が掲載されるようになりました。

また、コース部長や学年主任より出させる年度初めの「方針」の部分にも育みたい資質【能力】が反映されるようになり、生徒に提示される「学年目標」「コース目標」に育みたい資質【能力】が含まれるようになっています。

■グランドデザイン策定~シラバス作成の全体像
https://school-fal.com/uploads/files/images/gakuji/gakuji2303_1-gd.pdf
 

≪学校ルーブリックの作成について≫

育みたい資質【能力】を「お題目化」させないようにするためには、実際に使用していくことが必要であると考えており、学校ルーブリックの作成は育みたい資質【能力】の策定と一体で進めていくことを当初から決めていました。2018年の冬の教研でルーブリック評価表(仮)を作成していくなかで、先生方のなかに共通する「生徒の成長イメージ」があるように感じました。

自己中心的な考えに捉われている(自己中心)⇒その自分を認識し、打ち勝とうと努力する(克己)⇒自分の意志を持ち、自律して行動できる(自主自立)⇒他の人のために行動していく(利他)といったイメージです。はじめは教員主導で事を進めていたものが、徐々に教員の関りが少なくなっていき、最終的には生徒どうしのやり取りで事が進んでいく成長イメージです。

これをあらゆる活動の成長を見取るための「モノサシ」として活用できないか、と考えました。『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)の中の「成長は連続体、成長はプロセス」という考え方と重ね、「成長の段階」としてまとめていきました。

「育みたい資質【能力】」を縦軸・「成長の段階」を横軸として、学校ルーブリックを「枠」としました。この学校ルーブリックの作成は、2019年の冬の教研において全教員で行いました。前段として、私の方から理念を説明した後、6つのグループに分け、それぞれに1つずつの資質【能力】を割り当てて、ルーブリックの文言を作成してもらいました。集められたルーブリックの文章の書き方や表現を統一するために、研究係で微修正を行い、学校ルーブリックとしてまとめあげました。

まとめたルーブリックの「使い方」を検討しているときに「キャリア・パスポートの作成」が求められることを知りました。キャリア・パスポートの理念を読み解くと「キャリアを形成していくために必要な汎用的能力の育成」が含まれていることが分かり、これは「育みたい資質【能力】」「学校ルーブリック」と親和性が高いと感じ、「育みたい資質【能力】」「学校ルーブリック」をベースに、本校独自のキャリア・パスポートを作成しました。

具体的な運用においては、これまでに担任・学年の先生方で行っていた「年度初めの計画」「学期の振り返り」「年度末の振り返り」に置き換わるようにして、「学校ルーブリック」「キャリア・パスポート」がプラスの業務にならないように工夫しました。

生徒たちは、年度初めに学校ルーブリックを使った自己評価で自分の成長の段階を可視化し、その年に計画されている行事にどのように取り組むのか見通しを立てます。学期の振り返りは、実際に行った行動の記録と振り返りを行います。そして、年度末に再度、学校ルーブリックを使った自己評価を行い、振り返りと次年度への展望をまとめています。

作成した「キャリア・パスポート」は、担任が回収してチェックを入れるとともに、指導要録や調査書作成の際の材料の一つとして活用しています。自己推薦書や志願理由書、面接で話す強みなどをまとめる際に、材料の一つにしている生徒もいます。今後の展開としては、成蹊GPの到達度を測る指標として、学校ルーブリックの活用を検討しています。
 

■ルーブリック評価表

≪教員間の「同僚性」を高めるために≫

これまで述べたような「グランドデザイン」「学校ルーブリック」の作成は、あくまでも「手段」の一つであり、「つくったら終わり」というものではありません。実際に、日常の指導に活かされていかなければ意味がないものです。しかしながら、多くの学校ではその点で苦労しており、本校においてもまだまだ「浸透度」は高くなく、「授業」や「行事」の在り様についてもまだまだ改善していける部分が大きいと感じています。

今、この点の打開策として私が取り組んでいることが「職員室の風土や文化」と「若手の先生の育成」です。コロナ禍などによる教員間の深いコミュニケーションの不足、保護者や生徒・周りの環境が変化していくなかでの多忙化、教員の世代交代の進行による価値観の変容などがあるなかで、教員間の「同僚性」(お互いが助け合う風潮)が低くなっていると感じています。

教員間の「同僚性」を高めるためには、その先生がどのような教育観をもっているか、日ごろからどのような想いをもって生徒の指導にあたっているか、をお互いに知ることが重要だと考えています。また、お互いがお互いのやっている仕事に敬意を持ち、感謝を伝えていく場面があると、行っている仕事にやりがい・生きがいを感じられると考えます。教員間の「同僚性」を高めることが、先生方のやりがい・生きがいにつながり、「育みたい資質【能力】の育成」に向けて学校全体で取り組むための「駆動力」になると感じているのです。

そのような観点で、全教員が参加する教育研究大会(教研)は重要なものだと考えています。2022年度は「育みたい資質【能力】」の育成に向けた「第2段階(実践)」だと位置づけ、実践していくために必要な準備を進めてきました。

2021年度の夏の教研では、私が「教育コミュニケーション」を学んでいる日本教育メソッド研究機構(JEMRO)の代表理事を務められている小山英樹氏に「生徒の学びに向かう力を引き出す」というテーマで講演をいただきました。この講演のなかでは、具体的な実践だけでなく、「教員としての在り様、信念や哲学」にあたる部分にも触れてもらい、先生方の感想も非常に良いものでした。

また、2022年度の夏の教研では、同じくJEMROの専務理事を務められている福本佳之氏を講師として招き、3時間のワークショップ形式の研修を行いました。その研修では、「傾聴」「質問」「承認」といった対話の基本スキルを実際に「使用してみる」ということを目的としました。

表の目的は「資質【能力】を具体的に育むための実践的な研修」でしたが、「同僚性の向上」という裏の目的もあったのです。福本氏との打ち合わせのなかで、「お互いの教育観を語る」「お互いの仕事を承認する」といった場面の設定を依頼しました。研修を行った後の感想にも「お互いの教育観が知れてよかった」「承認を受けることは恥ずかしかったがすごく嬉しかった」というものが多く、裏の目的も達成できたと感じています。

2022年度の冬の教研の企画立案を行っているなか、部内の若手の先生から「夏の教研でいろいろな先生方の教育観を聞けたことは大きな学びになった」「冬の教研でもっといろいろな先生から話しを聞きたい」という意見があがりました。それを受けて、2022年度の冬の教研では「ワールドカフェ方式」でお互いの教育観を語ることを企画しました。研修というと「パブリック」な状況になりがちですが、お茶などを飲みながら「インフォーマル」な会話を行うことで、教員間の理解促進や共通認識の醸成、ひいては同僚性の向上を期待しました。

2022年度の冬の教研の様子

≪初任者・若手研修について≫

本校では新しく着任された先生方を対象に、月に一度の頻度で研修を行う「教科等研修会」というものがあります。これまでは「先輩先生からの講話」が中心でしたが、参加する先生方はどうしても「受け身」になりがちでした。そこで、以下のように考えました。

若い先生方は正しく「これからの学校を担う」先生方です。教員の仕事は確かに大変ですが、これから先を担う子どもたち、その子どもたちがつくる日本の未来に、ある意味では直接的に関わるやりがいのある仕事です。大変な中においてもやりがいをもって子どもたちに接するためには、小手先の技術ではなく、教員としての在り様・信念・哲学を定めていくことが必要である。教員としての在り様・信念・哲学を定めていくことは、その先生の教員人生にも良い影響をもたらすだけでなく、関わる子どもたちの成蹊GPの実現、学校・社会の発展につながると考えるようになりました。

そこで、日本教育メソッド研究機構(JEMRO)の代表理事である小山英樹氏の著書「教室改革」を教科書にして「教員としての在り方」を、京都大学大学院准教授の石井英真氏の著書「授業づくりの深め方」を題材に「授業づくり」の本質を、先生方と一緒に考える研修をデザインしました。

さらに、今年度は若手の先生方との「対話」を重点課題として取り組んでいます。若手の先生方の理想の教員像がどのようなものであるか、どのような教師でありたいのか、といった内容を1on1の面談で話すことを実施しています。

<参考> 初任者・若手の先生方の声・研修の成果

【A先生(1年目)】
水谷先生の初任者研修会を受けて、私はよりよい授業にするための姿勢や意識、教師としてのあり方を学ぶことができました。特に、小手先のテクニックに気を取られずに、授業目標や授業を受けてどう成長してほしいのかを明確に自分の中で決め、生徒と共有することの大切さを学び、日々の実践に生かそうとしています。定期的に開催してくださる研修会によって、水谷先生や他の先生方の授業や教育観を共有したり、自らの理想とする授業に実践が近づけていくための初心を忘れないようにしたりできています。水谷先生の研修会を受けなければ、自分の理想の授業もわからず、小手先の技術にとらわれたままだったはずで、私にとってとても大切な学びの場となっています。初任者である今年度以降も、機会があれば水谷先生の研修会を受けていきたいと考えています。

【B先生(2年目)】
私は水谷先生の初任者研修を受け、教員の役割を知ることができました。「生徒の幸せのために」と思っていてもどうすれば生徒が幸せになる授業ができるのか、そもそもこれから生きていく社会で幸せに生きるためにはどのような力が必要なのか私には分かりませんでした。この研修を通し、これから必要になる資質・能力をはじめ、よりよい授業とは何かを学ぶことができました。そして何よりも、受講者同士とかかわりアクティブな活動を行ったことで、自分自身が「アクティブ・ラーニング」を好きになれました。今はこの楽しさを生徒にも伝えるため、授業に取り組んでいます。

【C先生(3年目)】
教員3年目になり、「こういう授業ができるようになりたい」「こういう風に生徒と接したい」という思いはあるものの、具体的にどうしたらよいか悩んでいるところでした。その時に水谷先生にお声がけ頂いて参加するようになったのが若手の先生向けの研修です。研修では、普段中々職員室では話しづらい悩みを他の先生方に相談し、一緒に解決策を模索できるので毎回楽しみにしております。また、水谷先生には個人的に授業や生徒対応について、何度も相談させて頂いております。ベテランの先生なのに上からでなく、いつも「共に働く仲間として」という気持ちで私たちに接して下さるのが伝わるので、とても相談しやすいです。まだ自分の目指す教員像には到達できていませんが、研修で学んだことを実践し、生徒たちと共に成長できる教員でありたいです。

≪研修履歴、体系的研修計画の作成について≫

教員免許更新制の発展的解消に伴い、公立学校では「研修履歴の作成」「対話による研修奨励」が義務化されました。私学は直接的には制度の対象外ですが、私はこれを「好機」として捉えており、私学である本校においても「研修履歴の記録」と「体系的な研修」の実装に向けた提案書を作成し、校長や理事長に働きかけています。

本校は熱意のある先生方が多く、情報提供のものを含め、非常に多くの研修に参加しています。一方で、これが「自己研鑽」に留まっていることに問題意識を持っていました。「研修履歴」を記録することで「自身の自己研鑽」であった研修に「自身のキャリア形成のための記録」という側面がプラスされることになります。

いろいろな技術の発展によって「知識・技能の陳腐化」がすごく早くなってきています。これから先の社会において、先生方自体も「主体的」「対話的」に学んでいくことが必要だと考えています。このための「駆動力」の一つとして「研修履歴の作成」をとらえています。

また、本校では多くの校内研修を行っています。教研、生徒事例研究会、教科等研修会、公開授業、研究授業などです。さらに、予備校の教員研修、中堅教員研修、教育力強化プログラム、Find!アクティブラーナーなど、外部の研修にも組織的に参加を促しています。これまでは「単独」のものであったこれらの研修を、整理・再構成することで「体系的な研修計画」をつくることができると考え、提案資料としてまとめました。

■研修履歴の記録と体系的研修体制について
https://school-fal.com/uploads/files/images/gakuji/gakuji2303_3-keshu.pdf

≪Find!アクティブラーナーについて≫

本校では、Find!アクティブラーナーを2017年に導入しました。当時は「新学習指導要領のときに、アクティブ・ラーニングが求められる」と盛り上がっていた時でした。そのためには、いろいろな先進的な取り組みをしている先生方の実践を見に行きたいが、なかなかそのための時間はとれない、これを動画で見ることでスキマ時間を活用して研鑽を行える、という主旨の提案を行いました。

当時から熱心な先生方が多く視聴していただいていました。最近では、初任・若手の先生方の研修の「期中課題」として活用しています。本校は、3年連続で「アクティブティーチャー輩出校」、今年度は「アクティブティーチャー輩出校・ダイヤモンド校」に認定いただきました。これは、先生方の自己研鑽に対する熱意の賜物だと感じています。

先生方それぞれに必要な知識・技能が異なるなかで、一斉研修のみでは限界があると感じています。「個別最適」な研修を行うにあたって、Find!アクティブラーナーは強力なツールです。体系的な研修計画の一環として、Find!アクティブラーナーは今後も継続的に活用していきます。

≪教務部長・教務主任の先生へのメッセージ≫

時代の変化に合わせるように、様々な新しいことが出てきて、その対応に追われていると思います。苦労してつくった制度も、現場の先生方からすると「プラスの業務」と受け取られ、反発・反感に悩んでいらっしゃるかもしれません。

私も同様でしたが、そのような状況下で、いろいろと取り組むなかで気づいたことが2つあります。1つ目は「想い」しか人には伝わらないということです。教務部長・教務主任の立場で、自分の教育観や教育に対する想いを職員会議などの場で出してよいものか悩んでいたころもありましたが、どのような「仕組み」もそこに「魂」がこもらなければ機能しないと気づきました。教務部長・教務主任という「ミドルリーダー」だからこそ、その「想い」は現場の先生に伝わると考え、恐れずに「想い」を出していくことで、そこに共感する人が生まれ、味方になってくれました。

2つ目は「すべてを自分でやる覚悟」を持てば、物事を進めることができるということです。自分としては「こうしたい」という想いはあるが、「教頭が理解してくれない」「校長がリーダーシップを発揮してくれない」ことで遅々として物事が進まないことに悩んでいる方もいるかもしれません。そのような「壁」にあたったとき、すべてを自分でやる覚悟を持つことで、それを越えることができます。

対応方針原案から仕組みづくり・運用に至るまでを含む提案書を作成し、校長・教頭だけでなく、理事長にも話しに行きました。運営委員や中核となる先生方への根回しも行い、運用の際の取りまとめさえ自分で行いました。そういったことを「覚悟」したうえで、進めようとするのであれば、物事を進めることができます。そして、すべてを自分でやる気であったのにも関わらず、進めていくなかで手伝ってくれる人が出てきて進めやすくなりました。そういった不思議な現象が起こったのです。

子どもたちに対する「想い」と日々の仕事とのギャップに悩みながらも頑張っている教務部長・教務主任の先生方に敬意を表します。その「想い」を「覚悟」に変え、より良い学校のために進んで行かれることを願っています。

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