概要
「未来の社会で子どもたちが幸せに生きるには何が必要か」。日本の過去、現在を概観し、独自の未来観からアクティブ・ラーニングを語る西川先生。何のためのALなのか、学校のすべきことは何かに迫ります。
子どもたちがこれから生きる未来を、思い描いてみてください。
終わりの見えない不景気により終身雇用制が崩れ、非正規雇用者が増大する。
医学の進歩により人間の寿命が劇的に伸び、80歳まで働かなくてはならなくなる。
そんな未来で子どもたちが生き残って幸せに暮らしていくために、私たちが学校という場でできることはなんでしょう。
例えば、終身雇用制が破綻した社会で60年以上働かなくてはならない子どもたちは、生涯で何度も失業を経験することになります。40歳、50歳、60歳で再雇用を目指さなくてはならない。これはとても大変なことです。
では、再雇用される人間に共通する特徴とは何でしょうか。あるアメリカの調査によると、
それは「親兄弟親友以外に多種多様な知人を持っている人」だったそうです。
西川先生はおっしゃいます。
これからの未来は「学校を中心とした地域コミュニティこそが、卒業した後も子どもたちの人生を支える基盤となるのだ」と。そのためのアクティブ・ラーニングなのだと。
共に学び、関わって、共に乗り越え、達成する。
その過程で多様な人とつながることが、子どもたちのその先の人生を幸せに生きていく礎になるのです。
一教授法としてだけでなく、生涯に渡り意味成すアクティブ・ラーニングの可能性を、ぜひ体感してみてください。
西川 純氏(以下、西川) さて、終身雇用が崩れると何が起こるかというと、企業内教育がなくなります。変だと思いませんか?学校で枕草子しか勉強していない学生が、商社に採用されても、仕事は何もできません。しかし、給料は与えてくれるのです。そして教えてくれるわけです。もう神のごときです。なんて心が広いんだというわけですが、それでも企業にとってはペイするわけです。
確かに、初年、2年、3年は使いものにならないが、だんだん使いものになっていき、やがて稼ぐようになるのですから、中長期で見れば、その若い時期の投資は十分ペイするわけです。ところが、終身雇用が崩れ去ると、それはなくなります。
なぜかというと、一生懸命に教えてやっと使いものになる状態になると、その社員は自分をより高く買ってくれるところに行ってしまうからです。ですから、企業内教育はしません。どうなるかという...
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プロフィール
西川 純 先生
上越教育大学教育実践高度化専攻(教職大学院) 教授
1959年東京生まれ。筑波大学生物学類卒業、同大学院(理科教育学)修了。博士(学校教育学)。 臨床教科教育学会会長。上越教育大学教職大学院教授
東京都八王子の都立富士森高等学校定時制の理科教師として、2年間の現場教師経験から、現在の講義での教え方、研究におけるスタンスを決定的に定める。
『学び合い』および『アクティブ・ラーニング』に関する著書多数あり。
現在は『学び合い』および『アクティブ・ラーニング』に関する第一人者として全国での講演および研修実績多数。
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