概要
増え続ける業務、長時間労働、過労死。「子どものため」という意義の元に、目をそらされ続けてきた教育業界の負の側面。その実態を徹底的に調べ上げた名古屋大学 内田准教授の提案する「持続可能モデル」とは?
教師の長時間労働や対教師暴力といった問題は、長らく教師の指導力不足が原因だとされてきました。しかし、最近になってようやく教師は被害者なのではないかという動きがマスコミや市民の間に広がりつつあります。
事態は改善の兆しを見せるかに思えましたが、ここで思わぬところからストップがかかったのです。それは、他ならぬ教育業界でした。
例えば「働き方改革」に対しては、なんと現場の教員から「やる気をなくす」という声があがったのだといいます。
「子どものために頑張ることが嬉しい」
「大変なことはたくさんあるけれどすべて教育的意義があることだから」
「教壇で倒れるなら本望だ」など。
勤怠時間も記録せず、土日もなく働くことこそ立派な教師なのだという考え方が、教育業界には蔓延していました。
そして、その陰で亡くなる人や心を病む人がいることは、一部の問題として見なかったことにされてきたのです。
内田先生は、これではいけないと警鐘を鳴らします。
子どものために働くことが素晴らしいなんてわかりきっている。けれど長く続けられる仕組みでなくては意味がない。
本講演では、何かの犠牲の上に成り立つ今の制度・体制に対し、このままであってはならないと、10年後を見据えた「持続可能モデル」をご紹介します。
※当日の発表資料は、以下ボタンよりダウンロードしていただけます
内田 良氏(以下、内田) 毎年3人ずつ倒れていく先生を「指導力不足だ」「あの人は無理だよね」と言って、お金に関係なく、時間に関係なく、子どものために尽くすのが先生だという今までの教員文化が守られています。
一方で、指導力不足というレッテルを貼り、来年も倒れていく。本当にそれでいいのですか?僕はやはり、倒れていく人たちのことをしっかりと見て、なんとか今の学校文化を変えられないかを考えたいのです。
「部活なんてやりたくない」と言えば、「あんた、何のため教員になったんだ?だったら小学校に行けばいい」と言われてしまいますが、そうではなく、泣いている人にどうやって向き合い、学校文化はどうなっているのだろうと今こそ考えなければいけません。そのタイミングに来ているのではないでしょうか。
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