概要
英語×笑顔で苦手意識をなくす アクティブ・ラーニングの発想と実践
NHKにて「英語ビジネスワールド」「三ヶ月トピック英会話」など多くの番組で講師、アンカーを務め、国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格を日本人で初めて取得した本間正人氏による、 「ことばとコミュニケーション」の講義映像を公開スタート!
アクティブ・ラーニングを25年以上実践してきた本間氏の最新の大学での授業の様子をどうぞご覧ください。
本間 正人先生 京都造形芸術大学の副学長を務めている本間正人です。本学は10年来、アクティブ・ラーニングに力を入れています。
学生が入学すると、1年生の前期の15週間には週1回のワークショップがあります。月曜日の1時間目から4時間目までぶっ続けで行うため、「マンデーワークショップ」といいますが、参加型でエクササイズ中心のアクティブ・ラーニングが初年次教育の柱になっています。
それは、コミュニケーション能力やチームワークの力を高めていくことが、彼らが今後、出て行く社会の中で確実に求められるからです。
今、私たちの周りに存在する職業はその多くが、AI(アーティフィシャルインテリジェンス)、すなわち人工知能に取って代わられるといわれています。AIに取って代わられない、人間だけができる仕事は何でしょうか。
一つは、新しいものを生み出していく創造力です。そして、コミュニケーション能力をはじめとして、人と人とが直接的に接するという対人関係能力はコンピューターに代替されることがありません。
そういう意味で、この京都造形芸術大学は芸大であると同時に、創造力と人間力を伸ばしていくことを教育目標としています。私が「言葉とコミュニケーション」という授業の中で実施しているさまざまなアクティブ・ラーニングの演目も、創造力と人間力を高め、引き上げていく試みとなっています。
これは京都造形芸術大学だけではなく、おそらく皆さんの学校でも同様だと思いますが、知識を与えるということに関していえばeラーニングでもできることがどんどん増えています。そういう時代だからこそ、eラーニングに代替されない学校の存在意義があります。人間が社会的な存在だということを本当に大切にするような授業を、皆さんが進めてくださるよう祈っています。
今日ご覧いただいた授業は、コミュニケーション能力やチームワークといった人間力を高めることを重視しています。新しい知識を得ていくというよりは、仲間とともに知恵を出し合い、そして何か発表していく、アウトプットしていく授業です。今、社会の中で求められている人間力の部分を、本学では重視して教育活動を行っています。
その結果、世の中の芸大・美大は一般的に就職率が悪いといわれていますが、本学の場合は私立文系の大学とほぼ遜色のない進路決定率になっています。これはやはり、本学の創造力と人間力を大切にしているという教育方針が、実業界からも認められている証ではないかと思っています。そして、この傾向はeラーニングの時代にますます顕著になっていくでしょう。
私立文系で、これまで通りの一方通行の授業で教養科目を教えている大学は、放送大学やeラーニングのプログラムに淘汰されていくだろうと考えています。
その意味で、京都造形芸術大学が創造力と人間力を発揮するアクティブ・ラーニングに力を入れていることが、これから日本の教育の中で一つのモデルになっていくのではないでしょうか。私自身も、そういう気概を持ってこの授業をやっています。
(授業解説:yで終わる言葉のリストアップ)
これは私がよく使うエクササイズですが、「y」で終わる英単語のリストアップがあります。日本人は英語が苦手といっても、結構ボキャブラリーを持っているのです。でも、使う場所がありません。
今、みんながスマホを持って、しょっちゅう写真を撮っています。その時に、「スパイシー」でも「プリティー」でも「クレイジー」でも「ハッピー」でも構いません。みんなが笑顔になるような掛け声を発するのは、日常生活の中で英単語を使う本当に良いチャンスになるのではないでしょうか。
そして、英語というものと笑顔というものを結びつけることによって、英語に対する苦手意識や英語嫌いを少しでも克服できるといいなと考えています。今、しゃべってみて気づきましたが、「ボキャブラリー」も「y」で終わる単語です。語彙といえばボキャブラリーというわけで、これもぜひ試していただければと思います。
(授業解説:カレーライスのエクササイズ)
このカレーのエクササイズは、いろいろな軸を立てて、さまざまな角度から物事を分析してみようというものです。それだけではなく、何か新しいものを作り上げる時に企画のヒントにもなります。あるものを多面的に分類してみて、その中の一つを変えることによって新しいものが生まれてくるのです。
例えば、カレーパンは日本の大発明といえます。パンの生地の中にカレーを入れ、油で揚げるのが典型的なカレーパンです。でも、例えば油で揚げないパンにするとか、お子さま向けにするとか、カロリーを下げるとか、どこかをちょっと変えることによって、さまざまな新しいものを生み出すヒントになります。
今日はカレーでやりましたが、自動車であれ、小説であれ、ホテルであれ、皆さんの児童・生徒・学生が最も親近感を感じられるテーマで、ぜひこのエクササイズをやってみていただければと思います。...
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