スポーツと教育
写真:関西学院大学広報室
今年も残り少なくなってきました。そこで、今年のスポーツ個人的ベスト3を選んでみました。
2018年スポーツ・ベスト3
1. フィギュアスケート:紀平梨花選手 グランプリファイナル優勝(12/8)
2. ボクシング:井上尚弥選手 ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級トーナメント1回戦 70秒KO勝ち(10/7)
3. 卓球:伊藤美誠選手「スウェーデンオープン」女子シングルス優勝(11/4)
番外編
アメリカンフットボール:全日本大学アメリカンフットボール選手権 西日本代表校決定戦 関学対立命(関学残り2分からの逆転)(12/2)
ベスト3の3人とも世界クラスで圧倒的な強さを見せてくれました。三者三様ですが、世界に通用する強さがどう培われてきたのか、ついそこにも思いを巡らせてしまいます。
浅田真央さんが引退してからフィギュアスケートを見る楽しみが少し薄れてしまっていましたが、紀平梨花さんのシニアデビューで激変しました。体幹、メンタル、自己分析・対応力、すごいと思うところは多々ありますが、これからが本当に楽しみです。通信制の高校に通っているそうですが、学校や教科のあり方についても考えてしまいます。
ベスト2のボクシングの井上選手の70秒KOも衝撃的でした。井上選手は、破壊的なパンチ力もそうですが、何より基本が美しく、相手の攻撃がすべて見えているかのような華麗なディフェンスには見とれてしまいます。空手、キックボクシングの経験者としてはじっとしておれず、年甲斐もなくボクシングをやってみたいと思うほどの格好良さです。
ベスト3の伊藤美誠選手のスウェーデンオープンでの活躍にも圧倒されました。準々決勝、準決勝と逆転で勝利、決勝では世界ランク1位を相手にわずか26分でストレート勝ちと圧巻でした。まさにゾーンに入るとはこういうことを言うのだろうと思えるような集中ぶりでした。
紀平梨花選手は16歳、井上尚弥選手は25歳、伊藤美誠選手は18歳、若者たちの活躍に元気を貰えた1年となり、来年も楽しみです。
番外編のアメフトですが、ここから今回の本題です。12/2に関学対立命で行われた西日本代表校決定戦は、残り2分の時点で17対19でしたが、関学が逆転に成功、20対19で3年連続52回目の甲子園ボウル出場を決めました。
私は1987年頃から関学アメフトのファンで、1989年頃からはスタジアムに通いつめるほどでしたが、その中でも名勝負と言える試合でした。
そんなアメフトファンにとって、5月に起きた日大悪質タックル問題は本当に残念な事件でした。これは、関学と日大の定期戦(5/6)で日大守備選手が悪質なタックルをして関学のクォーターバック(QB)を負傷させたというもので、背後に当時の日大監督からQBを潰せという指示があったということが判明し、一般のニュースとしても取り上げられる事態にまで発展してしまいました。
日大では、当時の監督にはコーチでさえも意見できる環境ではなかったようで、名門日大アメフト部がいつからそんなことになってしまったのか、日大の黄金時代を築き上げた今は亡き篠竹監督が聞いたらどんなにがっかりするか、残念な気持ちでいっぱいになりました。
写真:関西学院大学広報室
一方の関学、鳥内監督は相変わらず一見ものすごく怖いですが、会見を見ていても学生の主体性を尊重し、教育としてアメフトの監督をやっているということが伺えました。2018年5月26日の会見において、「大学スポーツのあり方、指導者のパワハラについて」の質問に対し、鳥内監督はこう回答されています。
「大学スポーツですけど、もともとスポーツいうのは自分らで考えてやるもんで、そん中から人格が形成されていくと、やりたいようにやっていってフォローするのが指導者の役割というふうに考えておりますんで、その、恐怖のもと、体罰のもとでやって教育が成り立つかといえばありえないと、とは思います。まあ、これ、いろんな競技が今ありますけど、いまだにそういう体質でやっておられるところがあるんであれば、いまこそ改変するチャンスではないかなと。これ、小学校、中学、高校と、みな同じや思いますけどね。上からの厳しい指導のもとはあるんですけど、まあ、子ども達も意見が言えないとか、あのー、監督の意のままにやらなかったらすぐ怒られると、もう、個性を伸ばすことできないですよね。結局、顔色を見ながらの人間になっていってしまうと。社会に出れば、まあ、いろいろと、あのー、忖度せな駄目な時もあるかもしれませんけど、スポーツにおいて、それは絶対あってはならないと思います。」
『コーチング - 人を育てる心理学』
関学の武田建・元監督は、心理学者で学長、理事長も務められた方ですが、著書『コーチング - 人を育てる心理学』(1985年、誠信書房)の中で、心理学をどうアメフトのコーチングに応用しようとしたか述べられています。鳥内監督もアメリカにコーチ留学されていますが、会見での発言を聞いて、武田監督時代の伝統を引き継がれているのだろうと思いました。
その関学が今年も西日本学生代表となり、12/16、大学日本一を決める甲子園ボウルに出場、早稲田と対戦します。
日大の篠竹監督(1989年当時)は奇しくも「フットボール界の空は青か赤であったはずなんだ」(青は関学、赤は日大)という名言を残されました。果たして、昨年の甲子園ボウルの対戦は関学対日大でした。30年来の学生アメフトファンとして、日大アメフト部の復活を心待ちにしています。
ところで、フィンランドで子ども達のスポーツといえば、アイスホッケー、女の子は新体操が人気のようです。アイスホッケーはやはりスウェーデン戦は盛り上がるようです。北欧のスポーツ事情についてもまたいずれ書いてみたいと思います。
<ご案内>
フィンランド・スタディーツアー
【Educa参加と学校視察】1/24発・フィンランドの学校を訪問、教育について考える7日間
https://www.nordic.co.jp/tour/tourtourfp0123/
<引用>
鳥内監督の発言
「タックル問題、日大再回答で関学大が会見 被害選手の父親も出席(2018年5月26日)」(33:16~34:38)
https://youtu.be/ReZmKHRc_2A
小林 秀行
株式会社Findアクティブラーナー アドバイザー
Dare to Learn アジア代表
一般社団法人Learn for Life 代表理事