概要
部活でケガをすることは仕方ない? 学校活動の中には子どもを不必要なリスクにさらしているものが少なくありません。教育という大義名分のもとに見えなくなりがちな負の側面に着目した名古屋大学 内田先生の講演です。
命の危険はあらゆる場所に潜んでいます。
もちろんそれは学校も例外ではありません。
いまだに教室にエアコンを導入しないこと。複数の部活動を同じグラウンドで同時に行うこと。柔道でまだ受け身も取れない新入生に上級生の相手をさせること。トーチトワリングで実際に火を使うこと。基礎知識もなく組体操を行うこと。
これらのことが子どもの命を危険にさらしていないと果たして言い切れるでしょうか。
我慢や不自由が人を成長させる一面は確かにあるでしょう。
また、リスクを許容せずにベネフィットだけを得られるほど物事は甘くはありません。
けれど改めて学校に潜む危険を見つめ直した時、そのリスクは本当に得られる価値に見合うものなのでしょうか。本当にそのやり方でないと成長できないのでしょうか。
内田先生は、学校活動は教育という名前がついた途端にリスクを見えにくくさせると主張されます。そして、見えなくなっていたリスクが見える化した時に、そのマイナスを1つずつ消していく「持続可能モデル」を提唱されました。
リスクという観点から切り込む内田先生の学校教育論、ぜひご覧ください。
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内田 良氏(以下、内田) 2000年以降の学校安全は、「防犯」「防災」を中心に展開していきました。特に、資源が割り振られたもの、お金が動いたものという意味です。皆さんご存知のように、2001年に大阪教育大学附属池田小学校で、子どもが8人亡くなるという事件がありました。これは本当に、学校史上最も残酷な事件の1つだったと思います。
これ以降、ようやく私たちは不審者が危険だという発想を持つようになり、一気に広がっていきました。不審者に気をつけましょうという発想は、これ以前は全く考えていませんでした。もちろん、誘拐事件などはありましたが、しっかりと対応しようとまで十分には考えてこなかったのです。
不審者対策のモデルですが、この学校は、事件が起きた後に学校を改築...
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