概要
部活でケガをすることは仕方ない? 学校活動の中には子どもを不必要なリスクにさらしているものが少なくありません。教育という大義名分のもとに見えなくなりがちな負の側面に着目した名古屋大学 内田先生の講演です。
命の危険はあらゆる場所に潜んでいます。
もちろんそれは学校も例外ではありません。
いまだに教室にエアコンを導入しないこと。複数の部活動を同じグラウンドで同時に行うこと。柔道でまだ受け身も取れない新入生に上級生の相手をさせること。トーチトワリングで実際に火を使うこと。基礎知識もなく組体操を行うこと。
これらのことが子どもの命を危険にさらしていないと果たして言い切れるでしょうか。
我慢や不自由が人を成長させる一面は確かにあるでしょう。
また、リスクを許容せずにベネフィットだけを得られるほど物事は甘くはありません。
けれど改めて学校に潜む危険を見つめ直した時、そのリスクは本当に得られる価値に見合うものなのでしょうか。本当にそのやり方でないと成長できないのでしょうか。
内田先生は、学校活動は教育という名前がついた途端にリスクを見えにくくさせると主張されます。そして、見えなくなっていたリスクが見える化した時に、そのマイナスを1つずつ消していく「持続可能モデル」を提唱されました。
リスクという観点から切り込む内田先生の学校教育論、ぜひご覧ください。
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内田 良氏(以下、内田) 皆さん、こんにちは。名古屋大学の内田と申します。先々週ぐらいに福島で、働き方改革についてお話をさせていただきました。今日は働き方改革とは全く別で、どちらかというと、僕の研究の原点に戻るような話になりますが、学校の先生の安全安心よりは、子どもの安全安心についてお話させていただけたらと思っています。
少しだけ自己紹介をさせてください。僕は普段、仕事で数字を使って色々なことをしています。それを踏まえ、これだけはぜひ知っておいていただきたいというお話をしたいと思います。それは、子どもは1学年に何人ぐらいいるかという話です。
なぜこのような話をするかというと、私たちは「何万人」と言うと、それだけで多いなと思ってしまいますよね。その何万人と言った時に、どれぐらいの規模なのだろうかとい...
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