概要
部活でケガをすることは仕方ない? 学校活動の中には子どもを不必要なリスクにさらしているものが少なくありません。教育という大義名分のもとに見えなくなりがちな負の側面に着目した名古屋大学 内田先生の講演です。
命の危険はあらゆる場所に潜んでいます。
もちろんそれは学校も例外ではありません。
いまだに教室にエアコンを導入しないこと。複数の部活動を同じグラウンドで同時に行うこと。柔道でまだ受け身も取れない新入生に上級生の相手をさせること。トーチトワリングで実際に火を使うこと。基礎知識もなく組体操を行うこと。
これらのことが子どもの命を危険にさらしていないと果たして言い切れるでしょうか。
我慢や不自由が人を成長させる一面は確かにあるでしょう。
また、リスクを許容せずにベネフィットだけを得られるほど物事は甘くはありません。
けれど改めて学校に潜む危険を見つめ直した時、そのリスクは本当に得られる価値に見合うものなのでしょうか。本当にそのやり方でないと成長できないのでしょうか。
内田先生は、学校活動は教育という名前がついた途端にリスクを見えにくくさせると主張されます。そして、見えなくなっていたリスクが見える化した時に、そのマイナスを1つずつ消していく「持続可能モデル」を提唱されました。
リスクという観点から切り込む内田先生の学校教育論、ぜひご覧ください。
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内田 良氏(以下、内田) そもそも教育活動は、望ましい子どもを作るためであり、素敵な活動なのです。リスク研究の言葉で言えば、教育活動は「ベネフィット」です。「ベネフィット」として、「これ大事だよね」と大事なことを全て先生方がやっています。ですから、どれも切れないので仕事量が膨らんでいくわけです。
教育委員会や国も、次々と「ベネフィットだから」「子どものため」と言って押し付けるので切れないのです。それが教育なのですが、それによって、「ベネフィット」の対義語は「リスク」ですが、その「リスク」は軽視される一方です。
ニュースでご存知の方もいるかもしれませんが、今愛知県では、トーチトワリングがとても話題になっています。そのことも僕がヤフーニュースで書いて、数日間も叩かれて大変だったのですが、ようやく精神的にも落ち着いてきました。
叩かれている最中は本当に辛かったですが、その...
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