概要
教室は遊園地!?自分の意志で人生を歩むアクティブに考えるキャリアデザイン
厚生労働省主催の高校生対象就職ガイダンスではメイン講師を務め、龍谷大学、四天王寺大学、甲南大学など多数の大学でキャリアデザインの授業を受け持つ本田勝裕氏のキャリアデザイン講座の授業動画をインターネットで初公開!
大学でのキャリア教育授業で、自分の人生は自分が決めるということを強く意識づけるパワフルな授業展開をぜひご覧ください。
本田 勝裕先生 私が京都造形芸術大学でやっている授業は、キャリアデザイン、あるいはキャリアデベロップメントに関することです。具体的にアクティブ・ラーニングを使ってやっているのは、ワークショップが中心です。見ていただくと分かりますが、その中には10秒や30秒、1分といったものも多く入れています。
これは、スウェーデンのマイケル・ヤートという仲間が作ったマイクロプランニングで、時間を圧縮することによって頭の回転、すなわちCPUを上げていこうとするものです。理論的にはソリューションフォーカストアプローチ、すなわち解決志向に関するやり方の一つで、この技法を使っていたりします。
アクティブ・ラーニングで大変重要なことは何かといえば、学習者が「主語」になるわけですから、講師がどれだけ学生を信じているかということです。それも信用と信頼、この二つができているかも要点の一つかなと思っています。ですから、私は基本的に、全部のグループを回って管理するとか監視するとか監督するということを全くしません。
ただし、学生に任せてきちんとやっているという信用と信頼があるからこそ、逆にコーチングがどれだけ引き出せるかを考えます。出てきた言葉から引っ張って、次の講義の展開にする、といったことも必要です。
私は、教室は遊園地だと思っています。楽しくて仕方がありません。話が長くなるので端的に言いますが、私は学生に助けてもらっています。学生は私の恩師なのです。学生のおかげで今の仕事ができているのだから、その学生へ恩を返したいと思うのです。
でも、学生は卒業しますよね。卒業すると、恩を受けた子にそれを返せません。だからペイフォワードになりますが、卒業した連中から受けた恩を今ここにいる学生に返していくだけと考えているので、努力とか工夫はあまりないのです。
あえて一つ言えば、「ジャズ漬けは良かったなあ」と思います。アドリブが効くからです。ジャズは譜面前提というよりも、「ちょっとこれだけ約束しといてね」といった決め事だけは守って、あとは自由にセッションを繰り返していくものです。だから同じ一曲でも、ソロやアドリブの演奏が全然違ってきます。
例えば、2限と3限が同じ授業で、対象の学年も同じ2年生という場合でも、それぞれ違う層が来るのです。同じ授業をコピーすることは物理的にできません。それをやるよりも、私はそこにいる学生、その場が持っている空気を、どう活かしていくかに集中している感じがします。だから遊園地です。
ジャズというのは、何小節かを決めたりする約束はあるのですが、その間にどういう演奏をするのか、どういうことを表現したいのかということは、アーティストが自由にやれます。私は、授業もそういう場所だと思っているし、学生も前の時間と今の時間とでは違うわけだから、やることは当然変わってくるのです。
つまり変数である私と、変数である学生が存在し、その変数がさらに授業という「n」にいるわけです。そうすると全員が変数である状態で、何が起こるか分からないアドリブのセッションができます。まさに約束の少ないフルバンドに近いという意味では、教室はジャズであり、遊園地だと思います。
だから、同じものを作ろうという発想がないし、逆に変えなければいけないと強いられているわけでもありません。自然に変わってしまうのです。
学生から学んでください。私が言いたいのはそれだけですね。学生から学ぶことが、一番大きな収穫です。ここは大学で、相手が生徒や児童ではないから、余計にそう思うのかもしれません。その学生がもともと何かを持っている、可能性の塊なのだという理解ができたら、あとは私たちがそれを引き出していくだけです。
ただ、甘やかすのとは違います。だから、叱る時は大声で叱ることもあります。守らなくてはいけないことは、大事にするべきだと考えるからです。けれども基本は、徹底的に学生を信用し、信頼すること、そして学生から学ぶことだと私は思っています。...
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