授業を行う上での注意点や事前準備
この動画から学べること
概要
大学1年次の導入教育で、将来につながる学びの土台を作る! 卒業後に働く自分をイメージすることで、逆算して身に付けるべき知識やスキルを明確にし、濃密な4年間の下地を作るアクティブ・ラーニング型基礎セミナー
県立広島大学では3年前から「大学基礎セミナー」という授業を実施しています。
全部で15コマの当セミナーでは、前半の7コマで、大学の授業を受ける上で必要な基本的スキル(レポートの書き方、ノートのとり方など)を身につける授業を実施。
そして後半の8コマは、学科ごとのオリジナル授業です。
今回は、当セミナーの後半、環境科学科オリジナルの授業を取材いたしました。
「授業と卒業後の仕事が結びつかない」
「各分野の専門家としての技術教育をしているのに、全く関係のない企業へ就職していく」
そのような状況を受け、環境科学科では、卒業後の働く姿がイメージできるように環境関係の職業についてグループに分かれてリサーチしていきます。
Active Learning Online (ALO) について
Active Learning Onlineは、文部科学省の大学教育再生加速プログラムテーマI「アクティブ・ラーニング」に採択された全国の9つの大学が、連携して情報や成果の発信を行うポータルサイトです。
採択校である本校の授業動画については、以下からご覧いただけます。
>> 授業動画を見る <<
三苫 好治先生(以下、三苫) 環境科学科で教授をしている三苫です。本日は導入の大学基礎セミナーをご覧いただきましたが、県立広島大学の特徴として、2年生が終わる段階で3年生での所属のゼミを決定します。
このゼミでの効果を最大限に引き出すため、入り口から出口まで考えた時に、どのような授業をその前後に配置していれば効果的に働くかということを考えてみました。
その結果、今回の基礎セミナーは出口のアウトラインを示すだけですが、その時調べたことが本当に正しいことだったのか、あるいは現場ではどのようなことが実際に行われているのかをこれから「環境科学セミナーⅠ・Ⅱ」という授業を通して勉強し、大学の中でどのような研究を行っているかなどを2年生までにしっかりと伝えていきます。
そして、ゼミに配属されてからは、まず中間発表会でポスター発表の練習をします。さらにその翌年には、中間報告としてレポートタイプで報告をし、最後は卒論発表会で口頭発表をしてもらいます。このような講義を通して、全体として最後の就職先に向かうような形を取っています。
Q.問題点への取り組み
三苫 まずは学科でワーキングを作り、この大学、学科を選択した学生がどういったところに向かうべきなのか、僕らが送り出すべきなのかといったことを小グループで検討しました。
その結果、この大学の問題として、環境科学科に入ったにもかかわらず、環境に関係のないところに就職する学生の割合が意外と高いことに気づきました。
その原因としては、学生が色々な授業を受けている途中で、キャリアに関する話が非常に欠けていたために、これまで卒業後は、環境とは関係なく自分の好きなところに就職するということがあったのではないかと思います。
現在は大学基礎セミナーを始めてまだ3年ですが、この間ずっとキャリアの話をしています。その上の学年にも、途中からですが同じようにキャリアの話をしています。そうすることで、環境に関係するところに就職する学生が非常に増えてきたと思います。
Q.学生の自主性と学校からの支援
三苫 実際にこういった方法で、こういったものを調べなさいということは、ルーブリックという形で先に示しています。しかし、どこを深めていくかについては学生の自主性に任せています。その数回の調査期間を経て、学生が自分の調べたいところを一生懸命調べてきて、今日のプレゼンテーションに至っています。
この形だと学生の自主性は尊重できるのですが、一方でそれが正解かどうか、あるいはその業態の全体像を示しているかということについての解答にはなりません。したがって、次の環境科学セミナーや、その次の段階で答え合わせに近い授業を準備しています。
Q.学部教育の効果について
三苫 今まで就職先と大学で勉強してきたことは必ずしもリンクしていなかったため、就職活動の際には、各自がそれぞれ努力をしなければいけないというスタイルでした。しかし、大学基礎セミナーを受講した学生たちは就職先を先に見据え、その就職先に近い研究をしている先生方のところに配属希望を出せます。
そうすると、研究を通して就職活動の一環もそこで補えるわけです。そのことにより、学生たちの時間を有意義に使い、負担を減らしながら効果を増していくというシステムに変えていったところですので、今後はその効果が期待されます。...
テキストの続きを読むにはプランのアップグレードが必要です。
さらに表示する