授業を行う上での注意点や事前準備
この動画から学べること
概要
どうすれば、50分間生徒を授業に向かわせられるのか。
1年前までの澤幡先生は、「聞く」「書く」が中心の一斉授業を展開されていました。
その頃は、「生徒が授業を最後まで聞く」ということに心を砕いていたそうです。
しかし、ある学校での授業見学をきっかけに授業スタイルを変え、今では、生徒たちが授業中に話をしていると、「うれしい」と感じたり、「安心感」を覚えるようになったそうです。
生徒たちの話の内容が、授業に関係のない話から、授業の内容についての話し合いや疑問提起などに変わったのです。
実際に生徒に話を聞くと、 「(最近)ちゃんと勉強しようっていう気持ちがわいてきました」「授業はメリハリがあって、楽しい」 と言います。
澤幡先生は、どのように授業を変えたのでしょうか?
ポイントは時間設定のルールにありました。
これまでの試行錯誤の中で、うまくいったこと、うまくいかなかったこと含めインタビューでお話しいただきました。
<アクティブ・ラーニング型授業を生徒はどのように受け取っているのか>
澤幡泰広先生(以下、澤幡) 私の主観ではあるのですが、今までの一斉型授業だったら目立たない子が、これによって「誰よりも早く終わらせてやろう」「終わったら、自分が他の人に教えてあげよう」と出てくることがあります。
ただ、去年の3年生でもいたのですが、うまく自分から声を掛けられないから、一斉型授業のほうが、落ち着いて出来るという子がいるのも事実です。良い受け取り方をしている子もいれば、一斉型の授業のほうが良いと言っている子もいます。
私としては、一斉型の授業しつつ、そうやって陰に隠れてしまっている子が表に出てくる場としてアクティブ・ラーニングを取り入れたいと思っています。
<アクティブ・ラーニング型授業に否定的な意見を持つ生徒への接し方>
澤幡 今日は講義型で授業をして、最後に振り返りシートを提出してもらっているのですが、まずグループで出来るところを認めるようにしています。あとは、黙々と作業して、最後のマインドマップと、振り返りシートで自分をアピールしてくる子もいます。
最初の授業の導入で「先生はどっちも見ているからね。もちろんグループのほうでコミュニケーション積極的に取ることも1つの目的。ただ、『今日はここ出来なかったな。今日は、自分はこっちの分野で頑張ろう』ということでもいいから、まずは自分の頑張れるところで頑張ってごらん」と生徒に伝えています。
毎回プリントを提出してもらった時に、そういった部分で生徒の頑張りを見てあげようかなとは思っています。
<学校内でのアクティブ・ラーニングの取り組みについて>
澤幡 TT(チーム・ティーチング)をしたり、NT(ネイティブ・ティーチャー)の先生がいらっしゃったりという部分で、以前からアクティブ型の授業をやっている科目はあれば、いわゆる講義形式、一斉型中心になっている授業もあります。ただ、全体としては、まだまだ浸透していないのかなという印象がありますね。
<浸透していないことについてどのようにしていきたいか>
澤幡 50分間全部をアクティブというのはなかなか難しいですが、先生1人1人で見ていきますと、どこかでアクティブな要素は入っていると思います。例えば、個人作業の調べ学習の辞書引き、今日なら教科書を使っての穴埋め、ちょっとした5分間のペアワークもそうですね。
私も導入する時は色々不安でした。最初の5分でも、短い時間でもいいから出来るということを、若い先生からどんどん発信していければいいのかなと思っています。
<今回の授業(50分)におけるアクティブ・ラーニング度>
澤幡 50分のうち10~15分ぐらいになっていればいいかなとは思います。
(Q,4分の1か5分の1ぐらい?)
澤幡 そうですね。はい。
(が、アクティブ・ラーニング型のことをやったという感じですか?)
澤幡 はい。生徒個人の中でもしかしたら、もっとアクティブになっていた子もいれば、そこまでじゃなかった子もいて、差はあるかもしれませんが、私の中では10~15分をまず1つの目安としています。
今日の15分のワークの中で、最初の半分ぐらいは、穴埋めなのでみんなきっと個人でやると思いますが、プリントの内容で1人ではどうしても出来ないところが出てきます。
そこから誰かが動き出して、少しずつ動く流れが出てきたので、15分のワークの中でも個人作業と協力は半々くらいで出来ていたのかなと思います。
<これからの授業はもっと割合を上げていきたいか>
澤幡 そうですね。もっと割合を上げて、私自身が教える時間と場をもっと少なくなれば良いと思います。
教えるも大事なのですが、その場を作ってあげる、支援するという形がもっと出来れば良いと思っています。私自身まだまだ未熟なので、もっと勉強していってやらなければいけないところです。
<アクティブ・ラーニング型授業を始めてみたい先生へのメッセージ>
澤幡 アクティブ・ラーニングに限らず、今までの形の授業でもそうなのですが、一番はやはり生徒にとってどうかということと、どういう姿になってほしいかということだと思います。
50分なり1時間の授業の中で、生徒が本当に主体的に出来るのが一斉型ならば、私は一斉型でもいいと思っています。本校は、なかなかそこまで集中力が続かない子が多いので、私自身、本当にこのままで良いのかなと、疑問を感じていました。
ただ、「失敗したら失敗したで、その時考えて次の解決策を練ればいいのだから。やってみないと失敗することもないし、成功することもない。もし、自分の心の中に『これはどうかな』と思う疑問点があれば、まずやってみな」と、私自身が生徒によく言います。これを先生自身が体現してみることが大事なのではないかと思いました。
私も最初はどうなるかなと思いましたし、今でも授業で失敗したりして、やってしまったな、こうだったなと落ち込んでしまったり悩んでしまうことがあります。ただ、決して長い目で見た時に、それがマイナスだとは思いませんし、それで自分が変わることで、生徒も変わるかもしれません。そういった姿を生徒に私が見せてあげられるのも、今できる1つのことなのかなと思っています。
<まずひとつやってみるなら…>
澤幡 一番簡単なのは、私自身もやっていますが、ペアワークですね。最後にまとめで小テストのような形にして、問題を出し合うだけでも良いと思います。
この「出来た」という感覚や、「出来ない」「思い出せない」「悔しいな」という気持ちが、生徒の中にすごく出てきます。それは普段の定期テストだと、なかなか生まれてこないと思うのですね。
「どうせ出来ないから」という気持ちになってしまう子も多いのですが、生徒の色んな表情が実感できますし、すぐに取り入れられるので、私はペアワークを良いと思いますね。
<生徒の変化で嬉しいなと思うこと>
澤幡 今まで、授業中生徒がしゃべっていると、正直イラッとしてしまっていました。しかしよくよく今、今日はランダムな形でしたが、グループ活動中などに生徒がしゃべっている内容を聞いてみると、今日の内容の話をして、盛り上がっていたり大笑いをしていたりしました。
今までだったら、「授業中なにやっているのだ」となるところなのですが、生徒が今日の内容で、お互い盛り上がっていると私自身も嬉しいです。
授業中に盛り上がってしゃべっていることに対して、私が安心できるようになって、自分の視点が変わったというのも嬉しいなと思いますね。
※澤幡先生の地理の授業は、学校導入版で視聴できます
学校導入版の詳細はこちらをご覧ください...
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