井上　郁夫先生　ここまで、勇気づけの視点や、アプローチの姿勢についてお伝えしてきました。ここからは、学校現場で、先生方があまり望まないような行動を子どもたちがする場面に遭遇した時、アドラー心理学的にどのようなアプローチをしたらいいのかについてお伝えしていきたいと思います。

この講座の中でもすでにもう使っている、この「不適切な行動」という言葉は、あまり耳慣れない言葉だと思いますが、アドラー心理学では、子どもの行動を「問題行動」などという言い方はしません。

問題行動というと、その問題を起こしている子ども、生徒が問題だというように捉えがちになりますが、実は行動自体には、問題・問題ではないという区別はありません。ある特定の環境において、その行動が問題になることがあっても、別の環境では適切な行動だということがあります。

例えば、公園で子どもたちが元気に遊んでいるのは、適切な行...