概要
風邪をひかないために、どうする?
自分たちが休むと下級生が困るからと、体調管理の方法を話し合う学級会この日の学級会のテーマは、「風邪をひかないために、どうするか」。
例年12月になると爆発的に増える、インフルエンザや風邪。
なぜ、体調を崩すのか。元気でいるためには、どうすればいいのか。
全員参加で話し合いは進みます。
体調管理の方法が出そろったところで、最後は、自分が今日からどんなことに気を付けて生活するかを決意するパートへ。
「校庭を10周します!」
「手洗いを1分以上します!」
子どもたちは具体的な目標を決め、この日から一週間、チャレンジし、
一週間後に結果を振り返るそうです。
話し合うだけでなく、実行を決意し、実践まで行う学級活動の形は、中学校・高校のホームルームでも応用可能!
ぜひご覧ください。
Q.チーム感の強さの秘訣
前田 沙緖理先生(以下、前田) 5、6年生だけ2年間持ち上がりでしたので、ずっと様々な行事を通じてクラスのチーム感を高めてきました。
うちのクラスは5年生の時に、「みんなの意志を下げない」ということを最初に決めました。マイナスの発言をすると、やはり意志が下がる、やる気がなくなる、雰囲気が悪くなるということが分かっているので、なるべく賛成意見を重ねて認め合っていこうということは常々教えています。
Q.今回の授業で学び取って欲しかった事
前田 何が課題かを自分でしっかり理解して、その課題を解決するために、「自分には何が出来るのか」と考えることです。そして、何が出来ると決めたら、実践、実行していこうという強い気持ちを持てるようになってほしい。そう思って、今回は指導しました。
Q.今回の授業のポイント
前田 まずはグラフです。最初に提示したところで、「これ、何のグラフだろう?」というワクワク感と、「そうなんだ、こういうグラフなんだ」という気づき。今回の授業であれば、救急車で運ばれた人の数や学級閉鎖の数という全国的なデータについて「これって自分たちにも関係あるのだな」と。そういった流れで、面白さを感じられたのかなと思います。
最初に答えを言ってしまうと、「はい、そうですか」で終わってしまいます。ですから惹きつけるために、反応や対応などを楽しみながら、子どもたちと一緒に進めていくという形で、教え込みにならないように気をつけています。
普段は5分ほどで取っている健康観察の部分でも、改めて見ると、「こんな感じになっていたのか」と実感できるところ。やはりグラフでもそうですが、最初の資料提示のところで、「自分たちのこと」と感じることが一番大きいかなと思います。
Q.今回学び取って欲しかった事
前田 「体調が悪くなるのはどうしてだろう?」と考えることから始まり、「悪くならないように私はこれを頑張る必要があるな」と、一人でしっかり決められることかと思います。
この季節が来るたびに、例えば中学生になっても、「この時期ってそういえば体調が悪くなる人が増えるのだったな。受験もあるし気をつけなきゃ」と、思い出すことができます。そして、「こうすれば良かったな。そういえばあのときにやったな」と振り返っていけば、健康的な生活にも目を向けられるのではないでしょうか。
Q.AL型授業に向けて普段意識していること
前田 普段から、自分たちで解決していくということが大事になってくると思います。今回の授業のように、話し合ってと言った時にすぐ話し合えるような関係作りを、日頃から培えるように、様々な授業の中でもグループ活動などを取り入れ、人間関係を良好に保つように気をつけています。
Q.AL型授業に必要なこと
前田 子どもたちが、「これを学びたい」と思えるような何かが必要です。今回の授業で言えば資料提示のところなど、何かきっかけを用意するのが一番大事かなと思います。別にやりたくない、考えたくないとなってしまわないように、やってみたいという気持ちになるような具体物や発問などを用意する必要があると思っています。
Q.AL型授業を通じた生徒の変化
前田 何か問題が起こった時、すぐに「先生!」と呼びに来るのではなく、どうやって解決していこうかと自分たちで考える気持ちは見えてきました。
友達関係の悩みでも、これまでは「こんなことされた!」と言いに来ていたのですが、そこで「ちょっと自分たちで話し合ってくる」と、何人かで別の教室で話している姿が見られました。
また、係活動などで積極的でない子がいて揉めてしまった時に、どのようにすればみんながやれるのかと、自分たちで話し合っていました。普段の生活の中のそういった場面でALが使われているのではないかと思います。
Q.先生自身が気づいたこと
前田 今日の授業は、自分の中ではあまりうまくいっていないかなという感想です。
話し合わせるべき場面が「ここではなかった」と感じたこともあります。話し合いの様子や、話し合いが終わって自己決定をする様子などを見て、「ここではなく、こっちだった」といったような具合で、授業の展開の場面で気づかされることは、日々たくさんあります。
Q.AL型授業に基礎学力は必要か?
前田 何かを解決しよう、みんなで考えていこうとした時に、基本的な考えがないと、まったく道も分からないままで、ゴールには辿り着けません。やはり基礎学力はある程度は必要だと思います。
どんな教科にしても、問題があってどのような手段を使ってゴールに行こうかとなった時に、何も手持ちがないと、思考が迷子になってしまいます。ですので、思考の道案内ではないのですが、ある程度の道しるべとして、基礎学力が必要なのではないかと思います。
Q.AL型授業と講義型授業の割合
前田 毎日ALのような授業ばかりをやっていると、時間がなくなってしまい、教えなければいけないところを教えられないこともあると思います。マンネリ化してしまわないようにメリハリをつけて、単元の中で「ここだけは」という重点的に教えたい部分にALの要素を入れるようにしています。
現状で言うと、まだ半分程度かそれ以下の割合です。なかなかうまく取り入れられていないかなと感じています。その単元ばかりに時間を割くことはできないので、次の単元の時間を少し減らすような調節はしています。
Q.リーダー役の児童について
前田 うちのクラス目標は「みんなでレベルアップ」です。子どもたちもそこを分かっているので、リーダー役の子に対しても、自分だけが理解したり、自分だけ出来たりしても仕方がないということを押さえています。
そういうことが押さえられているのであれば、事前の指導や学級の雰囲気にもよりますが、主導権を握っても突っ走ってしまうことはないのかなと思います。
Q.受験とAL型授業
前田 教え込みで言われたことよりも、自分たちで解決したこと、自分たちで見つけていったことのほうが、より記憶に残ると思います。「そういえばあの授業でやったな」と記憶に深く刻まれる分、学力も上がっていくのではないでしょうか。
ずっと先生が話しているだけの授業よりも、自分たちで主体的に取り組んでいったほうが、学びとしては大きいと思うので、それが受験に生きてくる可能性もあると思って取り組んでいます。
Q.今後の授業の展望
前田 力を入れていることは、やはり6年生なので、クラスや学年のことだけではなくて、学校全体のことを考えて「私たちの弐分方小学校を良くしていこう」ということです。
そのために自分たち発信で、どんな活動が出来るのかということを考え、最後まで何があったとしても、しっかりと実践、実行していくということ。教師主導ではなくて、全て子どもたちだけで始め、子どもたちだけで終わらせるようなことが出来れば、もう満足かなと。今はそうなるように頑張っている最中です。
<AL型授業を行う先生たちへ>
前田 私もまだ2年目で、ALどころか、授業の基礎から学んでいるところです。これからはALがどんどん盛んになって広がっていくと思うので、挑戦していこうという気持ちです。私もたくさん失敗しているので、失敗しても、まずは挑戦という気持ちでやっていけたらいいのではないかと思います。...
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