概要
男子はインターハイ8年連続出場、女子は12年連続出場(掲載当時)の島根県 開星中学・高校のテニス部。
テニスコートでの練習と、ミーテイングの様子を取材させていただきました。
インターハイ連続出場の強豪校というと、鬼監督の厳しい指導を思い浮かべていたのですが、開星高校のテニス部は全く違いました。
多田省吾監督(現・筑波大学附属坂戸高等学校)は、「主人公は生徒。自分は監督というよりも、芸能人のマネージャーのような、完全に裏方という気持ちでやっています」とおっしゃいます。
練習のスケジュールも、メニューも、すべて生徒が決めます。
実際の練習の様子と、生徒たちのミーティングを撮影させていただきましたので、ぜひご覧ください。
Q.アクティブ・ラーニングを部活動に取り入れる
多田 省吾監督(以下、多田) 従来、部活のイメージは、先生から生徒に指示を出し、その通りに動かすことがメインであったと思うのですが、私の考えとしては、生徒が主体で動くことではないかと思っています。私たちの役割は、情報を提供し、課題を提示した上で生徒にメニューを考えさせることです。
例えば、生徒が外部の人に話を聞きに行った時にこういうことをやりたい、またはこういう練習をしたいという主体的な要望が出てきたらいいなと思っています。
Q.ALの効果について
多田 「スポーツはルールのある遊び」という捉え方をしようと提案しています。選手たちがルールの中でどう行動したら勝てるのかということを、固定概念にとらわれずに考え行動していくと、何か発見があるだろうし、失敗した時に、どういう反応があるのかということも、私は楽しみにしています。
練習のスケジュールについても、自分たちで立てさせます。意外な場所で練習しようとか、ここは朝練習して、昼はやめようといった、こちらの固定概念より面白い発想が出てきたりして、「ああ、なるほどな」と私たちも考えさせられます。
Q.ALを取り入れて変わったこと
多田 男子だと、インターハイに8年連続出場していたり、女子も12連覇中だったり、継続的に勝ってきていますが、結果よりはチームが本当に楽しそうで、私も一緒に楽しめる雰囲気になっていると思います。
雰囲気が悪い時は、「今日はもうやめよう」とみんなで言い合ったりすることがあります。例えば、私が少し仕事で遅くなった時、テニスコートに行ってみると、もう生徒たちがいなかったことがあります。
次の日、「練習が切りよく終わらせられたので帰りました」という報告をしてくれました。なので、やらされているというより自分たちで運営して、どういう結果が出るのかということを本当に楽しめているのだと思います。
Q.監督として意識していること
多田 私が一番意識していることは、監督というイメージで指導するのではなく、芸能人のマネージャーのようにマネージメントをしてあげるということです。主人公は生徒で、教員は裏方なんだという意識でやっています。
生徒がどんな良い経験を得られるか考え、自分なりのスタイルが出来てきたらいいなと思います。
Q.他校のチームとの違い
多田 私たちも、全国的に結果も出てきて強化指定校になっているのですが、練習試合や合宿に行くと、本当に生徒たちが楽しそうにやるので、他校に「すごく良い雰囲気だね」と言われたり、「もっと厳しくやったほうがいいのではないか」と言われたりする時もあります。
Q.学校の空気感からの影響
多田 学校全体がそんなにバタバタしている感じではないので、生徒がしっかりやる時はやるという空気があります。もちろん部活でも、人を馬鹿にすることなどしないよう、本当に最低限の教員としての指導はしていますし、学校のいい流れがやりやすくしてくれているとは思います。
試合中のプレイの失敗や、技術的な部分で注意をすること、叱るということはほとんどありません。ただし、例えばチームとして挨拶をすること、連絡をすることなど、そういう規律の部分では、教師としてしっかり部活の場でも指導してあげたいなと思っています。
Q.生徒への声かけについて
多田 基本的には、「褒めてから課題提示をする」という順番を忘れないようにしています。部活の場を失敗できる場として私も捉えているので、生徒がチャレンジしたことには必ず反応したいなと思っています。...
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