概要
昭和女子大学 緩利誠先生の、教職課程特講Cの講義。
90分の講義の後半部分です。
桐蔭学園中学校・高等学校の松永和也先生をゲストに迎え、
松永先生の考案した「コラボベート」という授業形式を使った
授業案を学生たちが練り上げていきます。
それぞれが事前に考えてきた指導案を、チームでさらにブラッシュアップ!
一体どのようなアクティブ・ラーニング授業ができるのでしょうか?
そして学生たちの疑問、アクティブ・ラーニングの「評価」についても切り込んでいきます!
※学生たちは事前に松永先生の実践授業映像を視聴しています。
『説得から納得する授業』桐蔭学園 松永和也先生
https://find-activelearning.com/set/1080/con/1074
講義の全体構成
(前半)
1.前回の復習&今日のねらいの確認
2.コラボベートの開発とその経緯の紹介
3.松永先生の学生のサークル対話
(後半)
4.学生考案の授業事例のシェア&フィードバック
5.松永先生から学生へのメッセージ
6.コラボ授業のまとめ
Q.教職課程特講C 授業の説明
緩利 誠先生(以下、緩利) 教職課程特講Cは、実は本学独自の科目で、教職を志望している学生たちだけが受講する科目になっています。1年を通じた通年科目になっており、学生たちは、今ご活躍されている先生方の実践から学び、さらには、学んだものを元にして、自分でチャレンジングな授業をやってみるという内容です。
単元指導計画を作って、指導案を組んで、クラスメートの前で実際に模擬授業をやってみて、そこから批評を受ける、という一連の流れがあります。その流れをどの学生たちも必ず体験できるように1年間のシラバスを組んでいます。
その一環が今日の授業となっており、まとめとしての位置づけにしています。学生たち自身が、これまで自分が受けてきた授業だけではなく、いま社会が求めている、必要としている授業のあり方や、さらに自分自身もこうやってみたい、これだったらとても楽しく自分も面白くやれるということを考えていく内容です。
または自分で授業を作ったり、模擬授業をやったりする経験をして、それをさらに深めていこうとした時に、学生同士だけの学び、または私と学生だけの学びだけではなく、いま現場でアクティブ・ラーニング型授業で非常に力を注いでいらっしゃる先生とコラボ企画ができるというところで、今回の企画をぜひ実現しようと考えました。
今日の授業の設計としては、まずは事前学習として、90分時間を確保した上で、松永先生の授業動画を学生たちに見せています。そして、松永先生から、単元の全体計画や、授業で実際使われたプリントをお送りいただいたりなど、事前に打ち合わせをしたうえで、授業動画ではなかなか把握しきれないところを、私から学生に補足説明しました。
そして、松永先生の授業のどこが素晴らしいのか、どこがチャレンジングなのか、どこを見習っていきたいのか、どんなことを学べるのかというのを学生同士がアイディアを出し共有をしていきながら、もっと深めていくためには、こういうところを聞いてみたいことを挙げさせました。私は「欲出し」と呼んでいますが、それをしたうえで、それらの情報全てを松永先生に事前にお伝えし、今日に臨んでいます。
今日の基本的な流れとしては、前回の復習をして、松永先生から「コラボベート」が作られた経緯と実際直面された課題、困難点について共有をして頂き、学生が何を聞いてくるのかは彼女たちを信じ、任せ、どんどん論点を拾っていきましょうということでした。
当初の予定では、学生たちが実際に自分で授業を作ってみるのは、2回目のこの授業が終わった後の宿題にしようと思っていました。しかし、松永先生と打ち合わせをしていくなかで、学生からのアウトプットを見たうえで、学生たちがどのように考えるのかを理解する流れでやってみましょうと、順番を替えました。
実際にやってみたら、人の実践を批評するということと、実際に自分が計画を立てるということは、幅があって、次元の違いがありました。そこが見て取れたというのは、私は指導者としてひとつ得るものがあったと思います。
やはり彼女たちはまだまだ学べることがあるし、もっと実践を組み立てていくうえで、ポイントとなる押さえの部分を極めていける、そういう成長の余地がたくさんあります。また、今日の構想シートの中にキラリと光る原石も見いだすことが出来たので、彼女たちも力をしっかり持っているし、それだけ育ってきたんだなという印象を持ちながら授業を見ていました。
Q.授業で「ここが良かった」という箇所
松永 和也先生(以下、松永) 「コラボベート」という形式自体が、私の実践も2クラスでのべ10回ぐらいで、まだ若く、揉まれてないものなので、実際にいろいろな人の目に触れて、彼女たちに授業を作ってもらうというのはとても良かったなと思います。
授業を作ってもらう過程で、合意を形成する時に「どの立場で策を考えるか」という点について、「立場」についての共通認識を持っていないと、利害関係的に納得が出来ないという指摘がありました。そこは新しい発見でしたので、私が学校に戻って、次に実践するときは是非アップデートしたいと思いました。
緩利 実際、授業構想シートを見ていても、合意形成していくためには、立場性を明確にするとか、その辺の合意ができてないとバラバラになりますよねという、まさにその通りの指摘がありました。そういう指摘が出るというのは、やはり本気で考えているからだなと思います。
そうした、授業を深めていくための押さえ、ポイントとなるところに気づき、それを具体化しようとする姿勢というのは、キラリと光る部分だろうなというところです。
あと一つは、私が常日頃から言っていることですが、教科書べったりで、教科書だけにしがみついて読解して「こういう作品だったね」というような授業はやめなさいと言っています。彼女たちが持ってきた構想シートを見た時に、そういうものはありませんでした。
自分たちなりに題材を持ってきて、たとえ教科書に載ってる題材であっても「ここからこのように発展させられるのでは」というアイディアを出せるようになってきている部分が確認できました。
まだ至らない点はあるにしても、形に出来るようになってきているし、そういった意識が芽生えているんだなということを確認できたのは、私にとってはキラリと光る部分でした。
Q.4月当初の授業の様子
緩利 4月当初と比較すると、以前からまじめにやる点は変わりませんが、きちんと自分なりに考えてやってくるようになりました。自分なりに情報収集をし、その中で使えそうな情報を、そのまま持ってくるのではなく、そこに自分なりの手を加えて持ってくる。
しかも、それが第三者に伝わるような言葉と第三者に伝わるような流れできちんと作れるようになる、という点では、年度当初と今とでは全然違います。それをさらに強めるために、「ここがポイントだし、こういうことに気をつけよう」「こういうところが大事だよね」という意見を、学生たちの言葉から拾えるように、お互いの批評をしあったりするという地道で継続的なプロセスはどうしても欠かせないだろうと改めて思いました。
Q.「学生たちの言葉から拾う」とは
緩利 僕は、基本的に「こうしたほうがいい」「こうだよね」ということをあまり言いません。だから、学生たちが指導案を持ってきたとしても、実際に模擬授業、チャレンジ授業をやったとしても「この点についてはどうだろう」という問いを投げるようにしています。
投げかけたうえで、学生たちから発言をどんどん拾っていき、本当にみんなが言っているところが浅い解釈でとどまりそうであれば、もちろん揺さぶります。
ただ、「教育学的にはこうなんだよ」という解を見せてしまうと、「ああ、そうなんですね。ああ、じゃあそのようにします」と話が終わってしまうので、そうではなくて、「あなたが学習者の立場として、今の模擬授業を受け、本当に学び取ったことは何で、その学び取れたものは、その授業者のどういう工夫から実現できたの?」と問います。
そうすると、教育学が大事にしてきた部分に、直感かもしれませんが、学生たちは自ずとたどり着きます。なので、その出てきた言葉を意味づけてあげるほうが、私がここにいる意味があるだろうと思っています。そういう点で、問いを投げかけ、とにかく学生から意見を拾っていきながら意味づけるというのが、基本的な私の授業のやり方です。
Q.今日のクラスの雰囲気や学生に対する印象
松永 緩利先生とこのように授業をしようと企画したときに、まず「大学生の学びのための授業にしたい」と思いました。
自分も大学生の時に、実際に授業案を作って、チェックしてもらったりしていましたが、その時には、やはり自分が受けてきた教育しかサンプルがありません。なので、学生に授業を作らせてみると、その学生がどういう教育を受けてきたかがとても見えます。
要するに、自分がこういう教育を受けてきたから、こういうのを作りました、となるのですが、それはとても貧しい話だと思いました。やる気はあるけれども、まだ大学生なので、情報収集の仕方がうまくいかないのです。
その部分を、実際に現場でやっている私と繋がることで、こういうやり方をやっている人もいるよと知ってもらうこともできました。
そういう意味では、この1年でいろいろなサンプルを緩利先生が紹介してきただけあって、私が学生の頃に、現場の感覚がない状態で作っていた時よりも、彼女たちのほうがレベルの高いところで共通認識を持ち、レベルの高い議論ができていると思います。
ここは外してはいけないというところを、もうすでにそれぞれが分かってるという感覚がとてもありました。
Q. 中高生と比較して大学生としての学びとは
松永 中高は、あくまで生徒であり、教わる側ですが、大学生になり、いま彼女たちがやっていることは、教える側への自分の身の置き所のトランジションをやってるのだと思います。まさに自分が今まで学習者という視点しか持っていなかったところから、指導者という視点を得なければいけないのです。
そのように、視点を複数、複眼的に物事を見れるような学びというものが、大学生としての一つレベルの上がった学びになると思っています。
Q.(フリートーク)今日の授業90分を振り返って
緩利 ざっくり聞きますが、今日やってみて、松永先生が特に印象に残ったところがあれば教えてください。
松永 そうですね。彼女たちに実際、授業案というアウトプットを作ってもらって本当によかったなと思いました。具体的に作ることで気づけることがあるとやはり思います。作り手の立場、自分が教える立場になった時にこそ気づけることというのは、私たちにとっても良かったし、彼女たちにも深い学びになったのではと思いました。
緩利 そうですね。私も実は、1回目の授業が終わった時に、「欲出し」でミニレポートに書かせていたのですが、あのまま2回目に行ったら、どうなっていただろうという思いを、いま持っています。
実は、事前課題で授業構想シートを書かせたことで、その「欲出し」のところに書いていた松永先生への疑問・質問の内容を、自分も考えざるを得なくなっていたのだろうと思います。
そういう意味で、事前課題でアウトプットを作らせたというのは、彼女たちの課題意識を高めるという点でも寄与したという印象があります。
松永 まさにそうですね。時間がなくて結局できませんでしたが、評価についても、事前の質問がたくさんありました。「こういう授業はどのようにテストで測るのですか?」といった質問があり、それはそのまま「では、あなただったらどうしますか?」と書いて返そうと思っていました。
実際、私はテストで測っているので、対策、施策はあります。しかし、先に実際の施策を紹介してしまうのではなくて、「あなただったらどうする?」とまず考えさせて、後から「実際はこのようにやっているよ」と紹介したほうが教育効果は高いと思います。そういう意味では、今回のやり方は良かったと思います。
緩利 話は変わりますが、松永先生がさきほどおっしゃったように、学習者から教師に意識を変える、構えを変えるということが、学生にとって至難の技です。逆に、教師の立場に構えを変えたからといって、学習者であったときの自分を忘れてはいけないということもあります。
ですので、私自身は、その指導者としての意識、教師としての意識、構えに届かせるのに苦労することがあります。松永先生からみて、学生たちは教師としての視点・意識を持てていたかどうか、個人的にとても興味があります。
松永 そうですね。学生たちのしゃべり方を見ていると、まだ半分教師で、まだ半分は学習者というような立場かなと思います。
その子によって資質があると思うのですが、「自分が中高生の頃に、アクティブ・ラーニングがあったら、積極的に参加できたか?」と質問したら、「できたと思う」という学生が4人ぐらいいましたよね。あの子たちは、すんなりと教える立場でもいけるだろうと思いました。
逆に、そこで手が上がらなかった子は、それ自体が悪いわけではないですが、教える立場に移行するためには、何か一つ自分の中で変えなければいけないところがあるだろうと思います。
私は普段、大学生を教えるということをしないので、今の話を面白いと思うのですが、立場を変えていくことの難しさや、こういう工夫をされているという点について、具体的に教えてもらえますますか?
緩利 そうですね。やはり大学で学ぶ限り、理論は一度押さえてもらいたいと思っています。ただその時に、「こういう理論があるんだよ、だからこうなんだよ」という説明では学生には全然響きません。
ですので、学習者から教師に目線や構えを変えようとする時に、自分が教育を受ける側だった頃の、先生の行為や発言を含めた、その授業に対して、「率直にどう思っていたのか?」をいうことを振り返ります。
そして、結果的に、それが自分にどんな学びになっているのかを、教師と自分の関係で自らの経験を振り返らせて、そこの振り返りから出てきた言葉を手がかりにしながら、理論をかみ砕いていくということが一点です。
とはいえ、自分の経験というのは閉ざされているので、隣の人に聞けば異なる経験がたくさん出てきます。例えば、私はいま女子大にいますが、女子大にいると女子校出身の子もいれば、共学出身の子もいれば、私立の子もいれば、公立の子もいます。そうなると、とても多様な教育を受けた経験が出てきます。なので、他者の経験を開くと、「え?そんなことやってたの?」といった話になります。
ただ、単なる思い出話の披露になってしまわないよう、「その時、教師は何をしていたの?」「その時、教師はどこにいたのか?」と口を酸っぱくして言って、教師の存在に意識を向けるようにしています。
松永 しかし、「そう言われても、先生のことなんて全然気にしたことなかった」という学生もいますよね。
緩利 そのように考えると、実は先生は裏ですごい努力している、せざるを得ないということに気付くようになります。「あの時の鬱陶しいと思った一言は、きっとこのために言っていたのかも知れない」というような気づきは、まずは自分の経験から出てこないといけないと思っています。ただ、誰もが教師の存在を意識して、自分の経験を覚えているわけではないので、気づきが自分の経験から出てこない子はやはりいます。
松永 そうですよね。
緩利 その辺りに難しさがあるのは事実です。
松永 もうひとつお聞きしたいのですが、4年生で教育実習に行く前と後で、「この子変わったな」というケースはありますか?もちろん個人差はあると思いますが、変化は感じられますか?
緩利 感じます。もうそこは劇的な変化だと思います。
本学では、4年生で教育実習に行かせていますが、本当はもっと早いほうが好ましいです。やはり実習に行って、実際に子どもと関わってみることで、自分が理想として描いていた実践をやったとしても、響く部分と響かない部分が出てくると思います。そういう経験を経ると、やはり課題意識がすごくシャープになってくるのです。
ですから、実習から帰ってきた学生たちのほうが、「先生、これどうなってるんです?」と具体的な質問が出てきやすいです。この授業の良い点は、4年生が数名入っているので、実習に行く前には、残りの子たちを相手に模擬授業の練習したり、実習から帰ってきたら、どうだったかをみんなにシェアしたりしています。
ただ、下級生はまだその価値を正しく理解しきれていない感じで、やはり経験してみないとわからないことがあることを正直感じています。だからこそ劇的な変化はあると思います。
松永 なるほど。でも、教育実習にもう少し早い時期に行くとなると、色々なレベルで難しさがあるので、実習に行く前に、今日のように予め映像を見て、その教師と実際に話すという経験はとても良いと思います。このようにいろいろなやり方で現場と繋がることで、課題が具体化し、具体的になることで当然問いも生まれるという効果があるだろうと思いました。
緩利 そうですね。現場での実践と繋がっていく中で見いだされた課題というのは、理論的にも検討がいくらでも出来るような課題だったりします。
ただ、気をつけなければいけないのが、来週にこの授業がもう1回あるのですが、今回生み出された問いが、彼女たちの中にずっと生き続けてるかという点です。
「あの時に、みんなであれだけ考えたよね」という場合もあるので、彼女たちの心に、より刺さるようにしていく必要があるし、それを思い起こさせながら、問いとして持続させる工夫がどうしても必要になると思っています。
松永 それは中高も同じです。いかに、今までやったことを積み重ねていけるかということです。たぶん、「振り返り」が一つキーワードだと思います。それは、続けてやっていきたいと思います。
別の質問をしたいのですが、学生からのコメントで、「私の知る限り、大学の授業は講義型が多い。中高でアクティブ・ラーニングが盛り上がっているが、そこで学んだ子が近い将来大学に進学したとき、高大接続と言われているけれども、大学で繋げられないのではないか」というものがありました。
もちろん、大学は1クラスの人数が多かったりするので、可能な形は違うと思いますが、大学でのアクティブ・ラーニングは、どのようにあるべきか、緩利先生個人のレベルで結構ですのでお考えをお聞きしたいです。
緩利 元々、アクティブ・ラーニングという言葉が高等教育で使われ始めたように、言葉が出始めてから、大学の先生方の教育に対する意識は「積極的」「否応がなし」というそれぞれのスタンスはありますが、かなり変わったのは事実です。
なので、教育マインドを持っている先生方が増えてきているのは確実ですし、チャレンジングな試みも増えてきているのだと思います。
ただそれが、まだ広がっていっている最中であり、さらには、中高で、そういうアクティブ・ラーニング型の授業を経験してきた子たちが、今後さらに大学に入ってくるとなると、中高よりもさらに発展させる大学のアクティブ・ラーニングとは何なんだろうと考えなければいけません。
私は教育学をやっているので、まだ教育について考えますが、それぞれご専門を持っている先生方のなかには、教育に関するトレーニングをほぼ受けてない方もいらっしゃいます。その中で、なかなか授業デザイン等がしっかり組まれてないとか、そういった課題があることは事実だとは思います。ただ、変化の兆しとうねりは間違いなくあるだろうと思っています。
一方で、アクティブ・ラーニング型にした時に、事前学習と事後学習において、大学は単位の認定の仕方が事前事後を数時間入れた形で認めるとなっていますので、場合によっては恐ろしいほど学生の負担になってしまうという心配もあります。
松永 すべての授業がそういう形になってしまうと大変かもしれませんね。
緩利 もちろんそれは、学生にとっては良い学びになるのは事実ですが、ある程度のバランスというか、うまいやり方を考えていかなければいけないと思います。
松永 そうですね。なるほど。ありがとうございます。中高でも、例えば、桐蔭学園は組織的に学園で進めていくわけですが、全員が全員すべての授業でアクティブ・ラーニング型の授業をやるのではなくて、無理のない形でやっていくという方針なので、それはやはり同じなのかなと思いました。
緩利 溝上先生が動画の中で、理解の共有から始めようと。
松永 はい、そうですね。
緩利 まさに現実的なやり方だなと思っています。リアクションペーパーを書かせるだけでも、学生に対する捉え方が変わってきます。
「あ、顔には出さないけど、そんなこと考えていたんだ」とか、「つまらなそうな顔しているけど、すごいコメント書いてくれる」とか、そういった小さなところから、お互いがさらに認め合う関係が出来てくれば、もっともっといろいろなチャレンジが生まれるだろうと思います。
松永 なるほど。
Q.今日の授業を振り返ってみて
松永 学生さんが教育実習で3週間、学校現場に行くというのは、とても大切な取り組みです。でも、それを日常的にやるのは難しいです。しかし、現場の声を聞くということも重要です。そういう時に、まさに今回のように、小中高の先生を大学へ呼んでいただき、現場の声を入れながら、実際の授業作りの形を一緒に模索するという機会は、とても良い機会だと思います。他の大学でも、こういう企画をどんどん進めていただけたらと思います。
緩利 個人的に私とつながっている大学教員もまた、高校や中学との連携協力を求めている先生が非常に多いですし、そういうことを日々話したりしておりますので、松永先生がおっしゃるようなことを感じています。
お互いに、日程などいろいろな調整は必要になりますが、やはり現場の先生と一緒に授業していくと、事前準備から大学教員として学べることもあり、「もっとこうしていくと、より違う学びが展開できる」という発見があったりします。
今の教育に関する議論と同じですが、大学側もカリキュラムなどの点で、もっと社会に開いていきながら、中学校・高校とも地域とも子どもとも繋がっていく。そうした中で、真理とは何なのか、大事なポイントは何なのか、ということをより深めていく。そのような関係が作れる企画がもっと増えてくると、さらにチャレンジが生まれる気がします。
私は学生に、日々、「チャレンジしなさい。今で満足しないように」と言い続けていますが、今回の企画はそれ自体、私にとってもチャレンジでしたし、そのチャレンジをすることで、幅が広がったという思いがあります。
ですので、積極的な高大連携、中高大連携、またさらなる連携が生み出されると、きっと日本の教育もますます面白くなるという期待を今は持っています。以上です。...
テキストの続きを読むにはプランのアップグレードが必要です。
さらに表示する