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ダイジェスト
ダイジェスト [1分14秒]
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インタビュー前編
「教えない」授業の進め方1 [14分08秒]
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インタビュー後編
「教えない」授業の進め方2 [29分55秒]
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解説1/3
アクティブ・ラーニング授業開き~『学び合い』オリエンテーション~ [7分27秒]
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解説2/3
アクティブ・ラーニング授業開き~『学び合い』オリエンテーション~ [9分18秒]
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解説3/3
アクティブ・ラーニング授業開き~『学び合い』オリエンテーション~ [7分20秒]
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インタビュー後編1/3
「教えない」授業の進め方2 [10分51秒]
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インタビュー後編2/3
「教えない」授業の進め方2 [9分02秒]
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インタビュー後編3/3
「教えない」授業の進め方2 [10分01秒]
アクティブ・ラーニング授業開き~『学び合い』オリエンテーション~「教えない」授業の進め方1 [14分08秒]
概要
13才のためのアクティブ・ラーニング入門動画公開!
今回の動画は、『第5回アクティブ・ラーニングフォーラム』にもご登壇された、 東京大学教育学部付属中等教育学校の對比地覚先生の授業です。
アクティブ・ラーニング0時間目「オリエンテーション」と、実際の授業の様子をご紹介します。
對比地先生がどんな思いで授業つくりをされていらっしゃるか、じっくりとお話をお伺いしたインタビューと合わせてぜひご覧ください。
【実際の授業映像】
對比地覚先生(以下、對比地) はい、じゃあ始めましょう。
生徒 起立。気をつけ。礼。
生徒全員 お願いします。
對比地 お願いします。
【インタビュー映像】
<對比地先生流AL型授業とは>
對比地 上越教育大学の西川純先生が提唱されている、いわゆる『学び合い」と呼ばれている授業です。
【実際の授業映像】
對比地 さて、じゃあ今日も言いましたが、ちょっと欲張っちゃったので、5番は出来なくていいです。「がん」については出来なくていいです。それ以外の(1)(2)(3)(4)(6)(7)(8)がクリアできたら、右側に移動してください。
【インタビュー映像】
對比地 最初の5分ぐらいで、今日どういうことが出来るべきなのか、あるいはどういうことが分かるべきなのかを示しします。
【実際の授業映像】
對比地 書いてありますが、50分までです。50分までに全員がクリアしてください。クリアするっていうのは、つまり定期テストで1人1人が同じ問題を出された時に、ここにいるということです。
【インタビュー映像】
對比地 「授業が終わるまでに、それを全員が達成できるようにしてね」「全員が分かった状態になるようにしてね」と伝えて、「はい、どうぞ」と生徒に任せます。
【実際の授業映像】
對比地 はい、じゃあどうぞ。
【インタビュー映像】
對比地 そこで生徒は教科書を見たり、資料集を見たり、遠くにいる友達のところに「ねえ、教えて」と聞きにいったりします。あるいは分かった子が「ねえ、ここ分かった?」と分からなそうな子のところに教えに行ったりします。
全員が今日与えられた課題を達成できるように、試行錯誤するのを見守っています。
【実際の授業映像】
(生徒の映像)
【インタビュー映像】
對比地 その中で、例えばインターネットを見たいという子がいます。本校は、基本的にインターネットを教室で使うこと、自分のスマートホンを使うことは出来ないので、自分が用意しているパソコンとタブレットを一台ずつインターネットに繋いで、アクセスできる状態にしています。
彼らにとって「努力次第で達成できるかどうかが決まる状態」に環境整備をして、それを見守ります。
答えが不安な子たちのために、教卓の前に模範解答として、「こういう答えもあり得るから参考にしてね」という程度の正解例を置いておいて、見に来られる状態にしています。
【実際の授業映像】
(生徒の映像)
【インタビュー映像】
<「教えない先生」授業中の仕事は?>
對比地 やはり教員はみんな、教えることが仕事だと思っているので、授業中教えないなら何をしているのだろうという話になってくると思います。
これからアクティブ・ラーニングと同時に、評価、特に形成的評価をしっかり充実させましょう、客観テストで測れない評価、達成度合いを1人1人見取っていきましょうとなったとします。
その時に、一生懸命教えながらあいつはこれを分かっている、ここ達成できた、と評価するのは難しいです。むしろ見取ることに専念することによって、つまり評価者になることによって、しっかりと見取ることが出来ると思っています。
40人を50分かけてしっかり見ることが出来ます。評価に徹することは、本当に教師にしか出来ないと思います。教えることは子ども同士で出来ても、この子はどこのレベルからどこまで上がったのか、今この子は何が出来るようになったのか、この子の躓き度合いをどう解決したのかは、やはりそばで時間を掛けてじっと見てあげないとわかりません。
そういう形成的な評価を含めた見取りを教えない代わりに充実させていくことが、教師としてしっかりと職務を果たしていくことになるかなと思います。教えることは自分ではなくても出来ます。
評価は自分しか出来ないとなったときに、やはり自分にしか出来ない評価を充実させることが大事かなと思います。
【実際の授業映像】
(生徒の映像)
【インタビュー映像】
<答えを求められたときの対応は?>
對比地 生徒が僕に答えを確認しに来た時は、基本的には答えず、「それは教科書に載っていなかったの?」「インターネットにも載っていなかったの?」「友達に聞いても分からなかったの?」と跳ね返します。
だいたいどれかはやっていないので、「じゃあ、それやってきてごらん」と言います。子どもによっては、やっていないのに「これも載っていません」と言う子がいます。
そうしたら「ってことは、それだけのことを調べても答えが見つからないのだから、その答えはいいよ」と返してしまいます。みんなが大事だと思うことは、誰かしら知っているはずだということです。
それを誰も知らないと言うなら、きっとその答えは誰にとっても重要ではなくて、君にとっても重要ではないから別にいいのでは?もっと重要なことに取り組んでみようよと返して、基本的に僕が答えを出すことはないです。
ただ、僕の投げかけ方が下手で、こういう答え方でいいのですか?こういう答えを求めているのですか?という僕の課題に対する疑問に関しては、「ごめん。俺の言い方が悪かったけど、そういう答えでいいよ」「そうじゃなくて、こういう側面からの答えをしてほしかった」ということは伝えます。
基本的にそういうことでない、教科書に載っていることやインターネットに載っていることに関しては、そこを当たらせるようにして、自分で調べる力を身につけさせています。
<「教えたい」という思いは?>
對比地 あります。むしろ教えたいから教員になっているので教えたいです。「ここ言ってやりたいなぁ」という部分があるのですが、僕が手を差し伸べると3年経った時にはついていけなくなると思って踏みとどまります。
となりで一緒に勉強している子たちは、教える義理も権利もないです。しかし困っている時に「ここ分からないのだけど」と言えて、「そこはこうだよ」と教えてあげられるのは、卒業していった後に、その子が救われる道かなと思います。
今勉強面では、Aという子がBという子を助けたかもしれませんが、社会に出た時には今度はBという子がAという子を救えるかもしれません。
僕は学校にいるので、その子たちが将来どうなったかを見ることは出来ないし、困っている時に困っていることを知ることもできません。身近にいる人間が言えたほうがいい、答えなんてどこにでもあるので誰でも教えられると思うのです。
だったら、僕でなくてもいいのではないかなと思っています。僕は言いたいですが、それはただ単に僕の自己満足なだけです。その子のためを思ったならば、今この子が分からないことで苦しんでいるのを見るのは辛いですが、僕が手を差し伸べることによって余計将来苦しませることになると思うのです。
そのことを考えたら、手を差し伸べないほうが、その子の苦しみを軽減させてあげることが、長い目で見た時にいいのではないかと思います。
教えたいけれど教えない。ただ、許されるだろうというところだけ、少しだけ息抜きで教えたことはあります。例えば、他教科を「すいません」と思いながら、これは自分の科目ではないからいいよねと思って教えました。
少し自己欺瞞ですが、教えることで少しガス抜きをさせてもらっている部分はあります。やはり心の中では、友達同士で、仲間同士で教え合えたほうがみんなにとってハッピーだなということは、自分への戒めとして持っています。
【実際の授業映像】
(生徒の映像)
【インタビュー映像】
對比地 全員体制で出来たかどうかが大事なので、黒板のところに誰が達成できていて、誰がまだ達成できていないかを可視化できるような名前のシートや出席番号のシートを貼っておいて、出来たら「まだ」から「クリア」に移します。
【実際の授業映像】
對比地 はい、あと15分ですよ~。あと15分ですよ。
【インタビュー映像】
對比地 生徒の足りない部分、例えば道具をもっと用意してあげて40分くらい見守りながら、最後の残り5分ぐらいのところで黒板の状態を見て、全員達成できたかをみんなで確認します。
【実際の授業映像】
對比地 素晴らしいね。素晴らしい。はい、じゃあ席に戻ってみようか。はい。ただ話してたら、話してていいよ。あと1分後に席ついてね。
【インタビュー映像】
對比地 達成できていたら、「すごいね。この調子で、みんなで頑張ろう」と伝えて次回への意欲づけをしますし、出来てなかったら「もっと頑張れることがあると思うよ、君たちならできるよ」と伝えて、次回への動機づけをして終わりにします。
【実際の授業映像】
對比地 けっこう面白い疑問がいっぱいあったから、書いといてね。いい?すごい面白かったよ、みんな。こんなこと質問していいの?疑問に思っていいの?いいよ、いいよ。面白いよ。
【インタビュー映像】
對比地 最後に、次回の課題を配っておくことで予習できるようにします。自分は分かるけれどあの子に教えられるようになるためには予習が必要だと思っている子や、あの子に教えてもらったけど自分で勉強してきたほうがいいと思っている子たちのために、予習が出来る状態を作ってあげます。
授業の最後に、「次回はこういう課題を出すよ。これを達成出来るように、次の時間までに準備したい人は準備してね」と言って終わりにします。
【実際の授業映像】
對比地 素晴らしい。全員達成。
生徒 いえ~い。
對比地 はい、じゃあ終わりにしよう。次回は④ね。で、5番入れておいてください。5番。5番、次回言いますから。5番は次回やるよ。よろしくお願いします。はい、終わり。
生徒 起立。礼。
生徒全員 ありがとうございました。
對比地 ありがとうございました。
【インタビュー映像】
對比地 もちろん中には、「なんで先生、教えてくれないのですか?」と言う子もいたのですが、その子には分かっている子が説明してくれたり、それでも分かってくれない子に関してはこういうことだよねと個人対応したりしました。
お互いに交渉を乗り越えてやっています。今でも「なんで先生、教えてくれないのですか?」という思いを持っている子はいますが、授業開きの時に説明したりします。
テスト返しの時に、「九十点取っている子がいるけど二十何点しか取れてない子がいるよね。一緒の空間にいるはずなのに、全員達成を目指しているはずなのに、おかしいよね。これで九十点取れても、社会で役立つかどうか分からないけど、社会に出た時に、俺は営業成績のノルマを達成しているから、会社としてなぜ潰れてしまうのかわからないというのは通用しないよ」
「他の人たちが苦戦して赤字を出してしまったら、いくら自分が良い成績を出しても、会社全体では赤字なのだから君に給料払うことはできないよね。だから、自分だけでなく周りみんなが出来るようになることが大事だよ」というような話を折を見てすることで、理解を図っていきます。
今のところは順調に進んでいる状態です。
...
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プロフィール
對比地 覚 先生
東京大学教育学部附属中等教育学校 理科教諭
1982年群馬県生まれ。
2005年より地元群馬の公立中学校にて理科を教え始め、
様々な教授法を模索する中、2010年から『学び合い』に取り組む。
2012年より現職。
アクティブ・ラーニングに魅せられ、更なる可能性を探るとともに、その発信に努めている。
執筆に、「『学び合い』で、自らの意識改革をする」(『授業力&学級経営力』2015年9月号、明示図書)
「すぐできる!アクティブ・ラーニング中学理科」(学陽書房)がある。
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